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デイケア心理士(師)とカウンセリングの力量 [心理]

とある研修を通じて、デイケア担当心理士(師)と話す機会があった。デイケアの業務が長くなるとグループ活動に参加する患者支援について、専門性の特化した技術は長けてくると思われる。しかし個人カウンセリングや心理療法の力が何処まで伸びていくのか疑問が残る。


精神科デイケアの実践的研究

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図解でわかる障害福祉サービス

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  • メディア: 単行本
今から20年程前、精神科の勤務に役立つと捉え、精神科医の指導も得ながらPSWの資格を取得したことがある。大学院でカウンセリング技術を深め、supervisorとして活動していたが精神科での心理面接を行うため当時は国家資格がなかったため、臨床心理士と精神保健福祉士を取得すると活動しやすくなると考えた。中でもPSWは、クリニックに併設された施設の精神科デイケアでも活動することを考え取得した。

 しかし精神科デイケアとは、精神障害のある方が、社会参加、社会復帰、復学、就労等を目的にグループ活動を行う通所施設であると言われている。グループ活動とは、パソコン学習、料理実習や創作活動に加え、ミーティング等のプログラムが用意されている。それは、精神疾患の再発予防に効果があり、健康保険、国民健康保険の適用が認められている。 

 精神疾患の患者の方は、適度な運動により健康維持や体力保全が可能となり、睡眠覚醒リズムをはじめとする生活リズムの調整が可能となる。また、障害を持つ仲間と交流することで、自分の病気、障害、特性について学習することができる。さらに作業療法を通じて、集中力や見通しのつけ方等、作業能力、課題遂行力を習得することが可能となる。さらにミーティング(集団精神療法)を通じて、対人関係スキルやコミュニケーションスキルを学ぶことができる。

 それでは、デイケア担当の心理士(師)がその勤務を継続すると、個人カウンセリングや個人心理療法の力が伸びていくかと言えば、そうとは限らない。それは、精神科医を中心とする生活行動支援のためのプログラムを履行することが主であり、構造化された心理面接の場面で継続したカウンセリング、心理療法を行っている訳ではないからである。それゆえ個人の精神療法、心理療法で必要となる、主訴の気づきに導く中で解決動機の促進と目標設定に加え、妨げる要因に気づく中で、その要因の緩和=癒しの技法と、心理環境調整等、個人面接を軸とするカウンセリングアプローチとは一線を画するものである。

 その昔、PSWの資格を取得した際、学校の講師に質問をしたことがある。デイケアプログラムの中にカウンセリングや心理療法を取り入れたらどうかと?。しかしその講師は、そもそもデイケアは、精神科患者の上記の生活支援を軸とするプログラムであり、医師が管理の軸となるため、通常、個別カウンセリングや心理療法が取り入れられないと回答があり誠に残念に感じたことがある。

 精神科診療所に非常勤として15年程、勤務していた経験もあるが、その後、公認心理師国家資格ができて精神科デイケアの意味合いは変化してきたのであろうか?それは主に現場で活動しておられる心理士(師)の方に経験に基づく判断をゆだねたいと思う。『』

 但し、率直に感じることは、個人を対象とする心理カウンセリングや心理療法でクライエントの主訴解決に導き、終結に導いた経験がない中で、精神科デイケアを担当するという経験だけで、「私は心理士(師)資格を保有する『カウンセラー』です」百人百様の個人の主訴と向き合い、行動変容や自己成長に導くカウンセラーであると名乗るのはいかがかと思う。心理士(師)資格を保有することで、カウンセリングを行う方がどの程度おられるのであろうか。真の「傾聴ができるのは1割にも満たない」と指摘されている大学教授もおられる。公認心理師保有資格者がカウンセラー資格を保有するとは言えないし、ましてや公認心理師や臨床心理士の資格を持たず、その学習の重要性も認識せず単に人間関係の中で相談員を続けている身近な相談員は、アセスメントの知識と心理面接の技術を欠いている点で、全くの論外と言わなければならない。

 

カール・ロジャーズ カウンセリングの原点 (角川選書 649)

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ロジャーズのカウンセリング(個人セラピー)の実際

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クライアント中心療法 (ロジャーズ主要著作集)

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