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労働の根拠となる書面の所在と保管義務責任 [学び]

労働の根拠となる書面は、労基法上、賃金台帳があるが、その作成の前提となる書面も保管しておくことが一定期間保管し、監督署の問合せに応じることが法律上の義務になる。マイナンバー提出を求めた事務責任者ならば、尚更である。

労働基準法解釈総覧 改訂15版

労働基準法解釈総覧 改訂15版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 労働調査会
  • 発売日: 2014/08/31
  • メディア: 単行本
ブラックバイト――学生が危ない (岩波新書)

ブラックバイト――学生が危ない (岩波新書)

  • 作者: 今野 晴貴
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/04/21
  • メディア: 新書

組織の中では、多数の方が関与している。事務担当者も複数いて、常勤職員のみならず、非常勤職員を複数雇用している組織は、特に長い休暇の際に、担当者不在のため管理することが難しい場合に直面する。その点スクールの場合には、出勤日の押印に加え、業務報告書を作成することに加え、5年間保管しているため、問題が生じることはほとんどない。

 他方で、民間の企業や組織では、勤務の実態がタイムカードで管理されることが通常だが、特に非常勤の場合、その中の勤務実態が手書きの用紙で記入する慣行がある場合がある。その用紙が勤務の記録となり賃金の根拠となる場合には、それは賃金台帳の根拠となる書面であり、事務責任者、雇用者側が一方的に変更を加えたり、処分してはならないのが原則である。それは少なくとも労働基準法、及び、施行規則に従う必要があり、これに反すると罰則規定が適用される。

 非常勤勤務者の大部分が休みを取る場合でも、それは労働日は何かという原則に照らして、考慮するべきであり、事務担当者はもとより、マイナンバーの提出を求めた事務責任者本人が独断で、労働日でないと決めることは言語同断である。もし、個人の一時的判断で「この日は、来るはずのない日として、労働日を消去することがあるとすれば、それは労働契約法、労基法違反であるため、面倒であるかもしれないが、個別に確認を取る必要がある。仮に予約の変更がある労働だとしても少なくとも前回の勤務日以前に予約をしている旨を、付箋に記入し、他の事務担当者に複数回、その他、複数の有資格者に表示している訳であるからいちいちそれを確認することは必要ではない。むしろ事務担当者に問い合わせる、単純なコミュニケーションが普段から欠けていることが明白である。事務責任者は、継続雇用を示すマイナンバー提出を求めている場合、Ptが訪れる勤務日の事実を確認せず、非常勤職のミスを指摘することは、論外である。存在をないがしろにする思考が生んだ対応である。

 特に5年を超える契約が労働者との間に成立している場合には、労働契約法の規定により、自動的に更新がされる。仮に10年を超えたとしても、当初の契約状態に関して、労働者の同意なくして雇用者側の都合で一方的に不利益変更をしてはならないのは常識である。それは長期間、当該労働契約において生活の資である賃金を得ているという期待を法的に保護するという趣旨である。従って、契約当時、予約の確認の条件がなければ、後の社内規定の変更により、新たな条件を付けることは不利益変更となる。

 しかしながらこのような常識が時に、平然と乱されていることがある。それは、労働者に対する敬意の希薄さはもとよりのこと、労働基準法並びに労働契約法に関する法的な知識が希薄な事務員の方があまりにも多いと認識している。公的な組織であれば、法務研修として設けられ、そのようなミスをすることは少ないし、社会保険労務士や弁護士など顧問契約を結んでいる企業では、適格な助言のもとに就業規則に従い慎重に労務管理が行われるため、そのような事態に陥ることは少ない。

もっとも最近、NHKのEテレで高校生や大学生など若者を対象とするブラックバイトに対する警鐘が報道されており、労基法や労組法の知識が少ない若者たちが大人たちの無思慮の犠牲になっている現実を省みると、自身のような大人は、適正な手続きを踏むことができる。しかしながら、賃金台帳の根拠となる書面が何者かの手により、一方的に毀棄された経験もあり、それは、文書毀棄の罪に問われるケースでもある。そのような経験をした際には、原則論に戻り、労働日はいつか、タイムカードにより管理されている労働時間は、何時間か、加えて、実質的な労働時間は何時間か、ということを示せば足りるはずである。それを立証するために、台帳の根拠となる書面を提示するように言われることが稀にあるが、そもそも、労働基準法上、一定期間保管することが罰則をもって、雇用者に義務付けられており、刑罰法規が適用される義務違反として公益通報事由となることをここに付言するものである。

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6218892

 連日五輪報道では、日本の若者たちが目覚ましい成長を遂げている報道を前にする時、上述のブラックバイトはもとよりのこと、正規の企業や組織の中でも実は、違法行為が潜伏する時には、仮に事実たる慣習となっていても、強行法規規範として、しかるべき公的機関に報告し、粛々と手続きをする検討することで、若者たちに法の下による支配のバトンを渡すことが可能になると考えている。


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