神経心理学に基づくリラグゼーションアプローチ [心理]
心理士(師)の用いる技法には領域や立場によってさまざまな技法があるが、クライエントの認知に応じて抵抗が生じない説明が必要である。
臨床家のための自律訓練法実践マニュアル──効果をあげるための正しい使い方
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- 発売日: 2015/01/16
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心理士(師)が訪れた訪問先で目の前のクライエントの主訴を改善に導くため、カウンセリングや心理療法の一定プロセス(段階)で当該心理士(師)が最も得意とする技法を展開することが求められる。リラグゼーションを必要とするクライエントには、筋弛緩法や自律訓練法を教示することがしばしある。自律訓練法の諸技法の説明のために「自己催眠」や「自己暗示」という言葉で説明することがある。他方で「催眠」や「暗示」という文言に対して違和感を抱いたという感想も聞かれることが時折ある。その時には、いかに効果的エビデンスがあっても、当該クライエントの抵抗感を軽減することで、効果の差が顕著に異なる。技法の適用においては、脳科学的見地において、顕在意識=(前頭前野・海馬)と潜在意識(大脳辺縁系、偏桃体)との違いを説明し、偏桃体にネガティブなメッセージが送られることを遮断する必要があることを説明することで、「暗示」や「催眠」という文言への抵抗感を軽減することで顕著な効果が得られ、納得の上で日々の生活習慣に練習を位置づけるように導くことが可能となる。
自己肯定感を測定する心理尺度(自己価値感尺度)の数値を示しているクライエントにエゴグラムを施行すると、多くのケースでCP(批判的親)の数値が高い傾向がある。同時にNP(養育的親)の数値が高い場合には、幼少期からの生育過程のどこかで、父母を中心とする規範意識を取り込んでいる可能性がある。CPやNPが高い反面FC(自由な子供)の値が低く、AC(従順な子=イイ子)の値が高い。その傾向性がクライエントの心理に内在化されているため過大なストレスを抱く傾向があり、常日頃から過緊張状態にある傾向がみられる。
自己肯定感が低い背景には、親や周囲から取り込んだ高いCPが監視することに加え、高いNPが過剰な保護を求めている場合がある。その結果、自由な心(FC)を抑圧し、自分自身に対して過剰な要求を求める傾向にある。結果自律神経の働きにおいては、交感神経優位の状態=過緊張状態に置かれることとなる。
過緊張状態から解き放たれるためには、偏桃体に刻まれたネガティブな記憶と親や周囲から獲得したメッセージに基づく認知を変容させていく必要がある。そのために筋弛緩法や呼吸法に加え、自律訓練法によるリラぐゼーションを日々継続することが有効となるケースがしばしみられる。
学校で使える5つのリラクセーション技法 (ほんの森ブックレット)
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