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リストカットへの臨床心理対応<追記> [心理]

リストカットの臨床心理対応は、専ら行為をやめさせることに焦点を当てすぎると、困難に直面する危険があることに気づくことが大切である。

自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント

自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント

  • 作者: 松本 俊彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/02/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
マンガリストカット症候群から卒業したい人たちへ―ストップ・ザ・カッティング―

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  • 作者: たなか みる
  • 出版社/メーカー: 星和書店
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本

魂の声 リストカットの少女たち -私も「リスカ」だった

魂の声 リストカットの少女たち -私も「リスカ」だった

  • 作者: 小国 綾子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/05/25
  • メディア: 単行本

臨床心理相談の場では、時折、リストカットのクライエントの主訴と向き合う必要が生じる。スクールでは、教職員から依頼を受けることもあるが、次回訪問の際、リストカットの行為が止まっていないと、リファーした人から、時に不思議そうな目で見られることがある。そこで、医療機関での投薬と並行するケースもあるが、それでも、リストカット行為は止まらないことはしばしみられることである。

 カウンセリングや心理療法に期待をかけて下さることは嬉しいことであるが、過度な期待を抱きすぎると、リストカットへの対応を間違えることになりかねない。依頼する側は、とかく、リストカットの衝動をあたかもかき消そうとする思考傾向がある。それゆえ、CounselorやSCにカウンセリング依頼後に衝動が改善されていないと、あたかも、貴方の対応が悪いと言わんばかりに、事後報告をしてくる養護教諭も稀におられる。しかしながら、リストカットの背景には、家族背景や不安特性、行動特性があり、特に傷から流れる鮮血をみることで、安堵感を感じるといった反応が習慣づけられてしまったクライエントには、むしろ、条件付けを解除することに焦点を当てすぎると、行き詰まることが多い。それは、医療機関での薬物療法も同様であり、当初、薬の効果があっても、次第に、効果が薄れて、反応が繰り返されることしばしである。

 それは、リストカットの衝動にかられるクライエントの隠れた要求に気づくことが難しく、既に条件づけられた衝動と繰り返される反応を、消し去ろうという無理な期待を抱いているからである。それでは、どのような方法は必要なのか。ヒントは、自傷行為を繰り返す衝動の背後にある隠れた要求に気づき、他の形で、実現するため、心の方向を切り替えるよう導くこととなる。

  自身は、任された時間でできる対応を行うが、現場対応の中で、反応が止められず、思い通りにならない上記職員は、SCの行動に期待しすぎずに、また目の前で反復される反応への正しい対処を学び、ストレスを解消する他の行動に切り替える準備をする等、適切な対応を学ぶ姿勢が必要である。SCの不在時、医療機関との連携を含む努力もしないうちに、心理面接を初めからディスカウントする姿勢はそろそろご卒業して戴きたいと思う今日この頃である。

 〈追記〉 リストカット常習者の生徒の傍にいる身近な相談員の対応を観察すると、目の前での自傷行為を防ぐため、生徒の行動に迎合するような態度が露見される。自分との距離を保つ工夫をせず、相談室の机があるテリトリーへの立ち入りを許してしまう。結果、プライバシーへの危険が生じることに加え、不用意に距離を近づけてしまうために、SCをあたかも友人のような言葉で呼びかけることを許容することを許してしまう。すると、周囲に対する期待が高くなるために、こちら側が一線を画そうとすると、甘えを許さないことに不満を示し、際限のないニードに付き合わなければいけなくなるという誤りを侵してしまう。この心の距離が近づきすぎてしまっている状況を、臨床心理に関する専門知識を持たない身近な相談員は、気づくことができない。ゆえに過度な期待を抱かせてしまい、それにこたえてくれない周囲に対する怒りを再び、自傷行為に結びつけてしまうという悪循環に導いてしまう。以上の心の距離は、専門的で極めて高度な臨床心理トレーニングを何千時間と受けた経験がなければ、適切な距離に身を置くことに気づくことはできず、修正が効かない。

 そのことを指摘すると、長期休暇中にも、いきなり、SCを気軽に無料スーパービジョンを受けることができる相手と錯覚・誤信し、生徒に馴れ馴れしい言葉遣いをさせるよう促進させていた姿勢が、突然○○先生と呼ぶようになるなど態度が豹変し、気軽に助言が欲しいと求めてくる。しかし、記憶を遡ると、既に数か月も前に、出身大学の指導教員に連絡を入れてsvを紹介してもらってくださいと伝えている。率直に言うと、心理臨床の基本が欠落しているため、肝心な所でCLとの関係を枠づけることができないし、自らの逆転移の衝動をコントロールすることができない。率直に申し上げると、CLである生徒や保護者へのニーズに際限なく応じているうちに、知らず知らずのうちに逆転移を起こしている自分に気づくことができず、仮に気づいたとしても、制御することができない。ゆえに、SCの中で臨床トレーニングを受けていない、不遜な態度が改善されない上記相談員へのSVは、不可能であることを付言するものである。後の世代に生まれるGルート研修生相談員も同様である。


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