SSブログ

心理士(師)有資格者の現実と未来予測 [情報提供]

心理業務であるSCの来年度に関する情報が新聞各紙を賑わしている。

総務省が定めた会計年度任用職員に関する基準の運用に関し、一部自治体担当の「誤解」から生じているものと見受けられる。

心理職大全~公認心理師・臨床心理士の資格取得から就職まで

心理職大全~公認心理師・臨床心理士の資格取得から就職まで

  • 出版社/メーカー: 東京図書
  • 発売日: 2022/06/09
  • メディア: 単行本

非正規公務員のリアル ー 欺瞞の会計年度任用職員制度ー

非正規公務員のリアル ー 欺瞞の会計年度任用職員制度ー

  • 作者: 上林 陽治
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2021/02/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

















【会計年度任用職員の再任用(他)】



 上記の記事は、公認心理師法が制定された際、同時に、会計年度任用職員制度が出たときには、既に予期された内容であり、同記事でも危惧された概要を紹介させていただいた記憶がある。当初公認心理師法が制定された際には、主に受験資格を有する臨床心理士が受験をし3万人程度であったと記憶している。しかし公認心理師試験は、6回目となり、第7回試験を3月3日に控えている。今や公認心理師有資格者は、7万人を超えており、これからは有資格者の雇用という問題が焦点となっている。そのような背景の中、新たな合格者のうち2年目以降の資格登録者の方を限りある心理業務に就かせることは、難しい判断がつきまとうことが明白である。

 経験のある臨床心理士及び公認心理師であれば、数々の心理諸問題を解決するスキルを持ち合わせている蓋然性がある。しかし、それを押しのけて新たな有資格者を採用する必要が生じるのは、心理師合格者を輩出した心理系大学及び大学院の要望が大きいのではないかと思う。なぜなら、自分の大学及び大学院を卒業ないし修了して、心理士(師)の試験を受験し無事合格、登録したにも関わらず、それに見合った職に就けない現状であれば、次年度以降の募集ひいては、心理系・教育系大学及び大学院の存続に関わるからである。
 各大学の教授陣が繋がりのある教委と連携をして助言者(講師、SV)の形で心理系の仕事に就きやすいように推薦したい衝動に駆られるのが通常であり、その結果、長年、勤務を継続してきた有資格者を 「初めに予算ありき」で、面接のみを理由に解雇又は「雇止め」する結末になったのではないかと推察せざるを得ないのである。
 【追記】しかし一番問題であることは、①公認心理師法と同時に会計年度任用職員制度が出来て、一部自治体のように5年を上限の任用しか認めないシステムが作られた中で、②長年採用されてきた心理士(師)が、地方公共団体の規則とは言え、突然、公募の形が適用されてしまうこと。③公募の採用、非採用の理由が甚だ不明確であるという声が数多く聞かれること、④少なくとも5年以上継続してきた心理士(師)は、従来の厚労省の見解では、「雇止め」となり、例えば、「契約存続が著しく困難な事情がある場合」など、合理的根拠が必要となる。増してや10年以上継続してきた場合は、猶更である。この基準は、会計年度任用職員という制度が作られ、労基法や労働法が適用除外という論法を採用したとしても、長年契約を継続してきた理由を地方公共団体ないしは、委託団体の「恣意」で労働者の立場にある「心理士(師)」有資格者の採用を拒否することは個人の尊厳を認めた日本国憲法の下ではできないはずである。もし非採用とする場合には、「面接内容から総合的に」といった抽象的な理由ではなく「〇〇という発問において〇〇という回答をした」「その〇〇という回答は明らかに心理臨床の諸原則」や公認心理師法の規定、そして生徒指導提要に明確に反するといった客観的な根拠を示す必要がある。それが「契約存続のために著しく困難となる事由」が必要とされる雇止め禁止の法理に合致するものである。
以下、総務省 自治行政局 公務員部文書 より引用
<再任用について>
○成績主義や平等取扱いの原則を踏まえれば、繰り返 し任用されても、再度任用の保障のような既得権が発 生するものではない →任期ごとに客観的な能力実証に基づき、十分な能力を持った者を任用することが必要
○「職務の遂行に必要かつ十分な任期」を定めている ことについて、職員や住民に対して説明責任を果たす ことが必要
○仮に空白期間をおいた場合であっても、地方公務 員共済制度の適用、厚生年金保険及び健康保険の被 保険者資格については、勤務の実態に即して判断さ れている
募集にあたり、任用の回数や年数が一定数に達して いることのみを捉えて、一律に応募を制限することは 平等取扱いの原則や成績主義の観点から避けるべき。
→即ち上記 総務省見解によると、「任用の回数や年数が一定数に達して いることのみを捉えて一律に応募を制限することは、平等取り扱いの原則や成績の観点から避けるべき」と規定していることから、単に4回以上、5回目の更新をもって、一律に公募の形で採用面接を行った場合(T教育庁が電話問い合わせに対して「面接のみで判断した」と一律に回答しているように)、面接内容のみで採用不採用を決定することは、文部科学省によるクライエントの継続調査や活動状況報告書の数字など、過去の成績を一切考慮せず選別することとなり、総務省の明示した基準に明らかに反するばかりでなく、不採用者にその内容の詳細を明示しないことは、裁量権の範囲を逸脱した違法もしくは、不適切な取扱=無効と言わなければならない(憲法98条参照)。
 総務省の行動規範となる法律は、条令より上位の法形式であるため、条令は、法律の範囲内で制定しなければならない。一部公共団体が定めた規則は、条令の下位規範であり、4回まで更新可能。それ以上は一律公募」「過去の成績を考慮せず面接のみで判定する」とする規定は、いかに地方自治の本旨に基づくといえど、総務省が定めた国の法規範に反することから違法であることは明白である。
→従って、採用・不採用の理由を明示しない対応は、適法性を欠く取扱いと言わざるを得ない。
<以下私見>
 
 採用非採用の客観性という点では、以下の指標の観点からその適法性の観点から再検討を加える必要がある。
 ① 新卒者である場合、大学(院)と講演等依頼する採用側との特別な関係の存在。
 ② 経験者である場合、所属学会や職能団体から推薦されていた。
 ③ 前年度、資格更新に加え、研修(有料)を受け、職能団体や研修実施団体から推薦を受けていた。
 ④ 実質的発言権を有する管理職と繋がりがあった。
 ⑤ 面接官の判断に顕著な差があったが、合否判断に繋がる客観的基準まで絞られていない。
 ⑥ 複数の地方公共団体ないしは、複数民間団体の職を兼ねていた。
 ⑦ 公式の勤務日時外に対応を求めたが労働者の事情により応じることができなかった。
 ⑧ 直前又は2年前に労基法ないしパワハラ防止法違反を指摘、公益通報していた。
 <過度な一般化>
 尚、残念ながら非採用となってしまった心理士(師)の方が長年心理士(師)を継続してきた中で自分の仕事を否定されたと捉える方がおられるかもしれない。しかし、その思考は非採用の結果とする思考の過度な一般化であり、これまで対応してきたクライエントの評価ではないことを肝に据えるべきである。
 
 これは、教育の場だけではなく、今後医療や福祉、企業の中での心理職が活躍する場で生じてくる。公認心理師法が制定されたのは、概ね数年間だけ心理職としての活動を許された時限的資格を認めた意味しかなかったのか。
<心理職職能団体の役割>
 尚、各心理職職能団体(日本心理研修センター、日本臨床心理士会)から年末に向けてアンケート調査の要請があった。その調査の意味は、心理職の動向を調査する目的があるとのことだった。恐らく、多くの心理士(師)が当該調査に応じたと推察される。しかし上記の新聞記事を拝見すると、心理職を守るという姿勢は今一つ希薄だったのではないかと顧みる。会員から一定の年会費や登録費を半ば強制的に徴収しているシステムは、それなりの福利がもたらされなければならない。しかし心理士(師)の守りとならない現状では、会費を徴収するだけの存在の在り方を見直さなければいけないと感じている。
   令和6年度以降は、年末のアンケートで回答した職場の勤務が継続される見通しが明らかになった時点で、会費を納入するシステムにする必要がある。臨床心理士ないしは公認心理師から会費を徴収するのは、会員の利益を守ることが事実上義務付けられているからである。
 
<会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)> 
【通知文引用】
会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知) 
4 再度の任用について 再度の任用を想定する場合の能力実証及び募集については、各地方公共団体において、平等取扱い の原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ、適切に対応いただきたいこと。 なお、前年度に同一の職務内容の職に任用されていた者について客観的な能力の実証の一要素と して、前の任期における勤務実績を考慮して選考を行うことは可能、であること。 また、結果として複数回の任用が繰り返された後に、再度の任用を行わないこととする場合には、 事前に十分な説明を行う、他に応募可能な求人を紹介する等配慮をすることが望ましいこと 2 これらの内容については、事務処理マニュアルの本文(II3(1)⑤)及びQ&A(問6-1~6-6) を参照されたいこと。
<以下声の引用>

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント