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特別支援教育スタート [心理]

 

ADHD医学モデルへの挑戦―しなやかな子どもの成長のために

ADHD医学モデルへの挑戦―しなやかな子どもの成長のために

  • 作者: ルース・シュミット ネーブン, ティム ゴッドバー, ヴィッキ アンダーソン, 田中 康雄
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 単行本

新年度が始まった。クライエント先にお窺いする度に、新鮮な気持で向き合う春の訪れがある。ここのところ問い合わせが相次いでいるのが、今年度から、小中校で本格的にスタートする特別支援教育である。特別支援教育では、LD、ADHD、高機能自閉症等の要支援児童・生徒のそれぞれの個性に応じて教育を行うことが求められている。しかし、特別支援コーディネーターはじめ学校関係者の方は、専ら、各人の「障害」の側面にとらわれ不安を抱いておられる感があり、児童・生徒を一人の人間として接することが難しくなる印象がある。加えて「2次障害」のことを言われるが、2次障害をもたらすのは、教える側の不安や動揺に基づく行動にもあると思う。その時に必要となるのが、観察、傾聴、確認、共感のリスナーの基本姿勢と基本技法であり、特に要支援児童の個性を理解するための行動観察である。そして、保護者との面接や児童の行動観察を通じて、行動観察記録を積み上げ、ご本人の固有の反応特性をつかむことである。もちろん、関わる支援者側の不安をいかに緩和するとともに、自己成長を支援するかという観点も重要である。今、新刊書店では、特別支援教育に関する様々な書籍が並んでいるが、主に「中枢神経系の障害」とだけ説明されており、脳科学の見地から障害の中身を解明しようとしているものは少ない。例えば、LDの児童であれば、WISC-Ⅲをはじめ、知能検査、発達検査などの結果を踏まえて、各児童、生徒の特性に合わせて、視覚や聴覚を中心とした教示を行うなど対応が提示されている。しかしそもそも「中枢神経系の障害」とは何なのだろう。今後、公の機関をはじめ発達障害に関する脳科学的な解明が待たれる。現時点で、DSM-Ⅳの定義をより一層深めるために、古書店をくまなく歩いた末、1冊の文献を入手した。その中で、例えばADHDの見方に従来の医学モデルに加え、心理社会的視点を加えるかという点で、基本的な対立があることが分かった。どちらに重きを置くかで、介入方法に違いが出てくる。即ち、従来の医学モデルを重視すると、専ら医療領域での対応となるが、心理社会的視点を加えると介入方法が広がる。そして、単に中枢神経系の障害を理解していくと、胎生期や乳・幼児期トラウマにより、注意困難になることで、衝動性、多動性が加わるという見解がある。見方を変えれば、注意力の持続を妨げる要因が脳神経回路の中で出来あがっていると表現できるのだろうか。ウイニコットの「偽りの自己」を引用しているところにも妙な説得力がある。従来の医学モデルに加え、心理社会的モデルの視点を加えることで、少なくとも支援の糸口が広がってくる。先ず、要支援児童生徒の親面接を通して生育歴の聴き取りに加え、どのような状況でどのような反応が生ずるのか、どのような状況のもとに適応行動を示すのか、行動観察を蓄積し、個性を理解することだ。カウンセラーとしては、グループカウンセリング方式を活用した対応を行う必要があると現時点ではイメージしている。


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yoshi

まさしくその通り!
> 教える側の不安や動揺に基づく行動にもあると思う

私もそう思います。 親が不安だからついつい怒っちゃうんですよね~。 で、、子供もどんどん不安になる。 できればテクニックばかりに走らずに子供の不安な気持ちを汲み取って欲しいですね。 
by yoshi (2007-04-10 23:48) 

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