SSブログ

ケース心理支援-後追追跡 調査の意義 [心理]

あの人(CL)は今どうしているかとふと思う時がある。

思春期のストレス対処力SOC: 親子・追跡調査と提言

思春期のストレス対処力SOC: 親子・追跡調査と提言

  • 出版社/メーカー: 有信堂高文社
  • 発売日: 2011/12/01
  • メディア: 単行本
新規CLの方が相談室を訪れると、今現在の状況を捉えるため、自己紹介を行う。その際、経験年数、フィールド、資格の名称を伝えるようにする。勿論、CL の主訴が切迫感が強い時には、抱えている状況によるストレス認知が少し治まった時に、本人の希望があれば、伝える。安心感を確保するためであるが、何よりも主訴が解決する心理支援や連携を行うことが僅々の課題となる。

 同一の相談室に継続的に訪れている場合には、かつてのCLが今現在どのような状態にあるか、主訴は解決されたか、医療での処方だけではなく、認知行動の変容を遂げたかが分かる。再来する機会があれば、チェックリスト(質問紙)をはじめとした心理検査を行い、変容過程とその程度を捉え、CL本人や保護者にフィードバックすることができる。認知行動の中で顕著な行動変容が現れたことが推察されると、心理支援を継続してきたことに意義を覚えCLとともに喜びを共有する機会を得る。本当にCounselor冥利に尽きる瞬間である。

 他方で新規CLと向き合う時、あの人はどうしているのかと心理支援場面を想起することがある。あの時は、もう大丈夫だと言葉では確認したが、それは本当だったのだろうか、とか、無事認知行動変容を遂げ、CL本人の希望する自己成長を遂げることができているかと思う時がある。

 訪問先で追跡調査を行う機会があった。過去のケースを後追いする視点は、心理士(師)としてとても大切な営みにつながると思う。当該調査の文書を下さった方は、大変な作業と気遣って下さった。何故一度、提出した調査を追跡するのだろうかと率直に思う方もおられるかもしれない。しかしCLは学童期から思春期、青年期、成人期、老年期に至る人生のプロセスの中で、生きておられるのであり、一時期と言えど、担当させていただいた心理士(師)としては、その方が現在、当初の主訴を解決もしくは緩和され、御本人の希望に沿って幸福に過ごせているかということが何よりも大切ではないかと振り返る。臨床記録ノートに初回面接の際に自筆していただいたクライエントの方に対して、いつかどこかで見守っているというメッセージが込められた意義ある後追い調査であると思う。解決に導くことができたかということは、ひいては、治療構造や支援回数、心理支援の方法はもとより、カウンセラーの技術とも関係してくる。いかに一回又は数回の心理支援でクライエントの主訴解決ないしは緩和に向けた変容に効果的な心理支援ができるかということを常日頃から振り返る今日この頃である。

SATカウンセリング技法

SATカウンセリング技法

  • 作者: 宗像 恒次
  • 出版社/メーカー: 広英社
  • 発売日: 1997/10/01
  • メディア: 単行本
イイコ症候群からの脱却 本当の自分を見つける本

イイコ症候群からの脱却 本当の自分を見つける本

  • 作者: 宗像 恒次
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2019/12/11
  • メディア: Kindle版
【追記】
 もっとも年度が変わり、前期の勤務日が終了した後に、追跡調査の依頼を受けることがある。勤務日の終了後、依頼が来るということは、①勤務日でない日に訪問先への訪問を事実上求め、勤務日に変更するか、②それぞれの研究室で管理している個人情報をもとに私の時間を使って資料を作成準備させるかということとなる。①前者であれば、長期休み明け等、振替勤務の対応措置が必要となるし、時間外勤務の対象となるため依頼主は労働の対価の補償が求められるはずである。他方で②の場合は、訪問先の個人情報の管理が問題となる。例えば、面接記録ノートやメモ、訪問先CLの名簿や、Googlecalendarに入力した予約記録等を手掛かりに資料を作成しなければならない。そのような時、管理職から連絡をいただくことがあるが、締切日が迫っている場合がある。訪問心理士(師)は職業倫理として追跡情報の作成についてできるだけの対応をするが、原則論からすれば、すでに定められた勤務日の中で間に合うように調査依頼の通知が送付されてくるのが筋である。しかし上位機関から送付された経路の過程で文書管理に諸所の問題がある場合、1週間、2週間と遅延することも稀にあるかもしれない。
 ①②がいずれも難しいことがある場合、管理職の名称を特定して本年度の確定申告の際に経費として計上させて頂く手続きを行うことが必要である。特に訪問心理士(師)に加え私設心理相談室を設置している場合は損失を補填する配慮をすることは、なおさらである。
 もっとも、訪問心理士(師)の直属の管理を行う立場にある方が、文書の存在を失念している場合が稀にある。責任者が当該管理者に管理業務を預けている場合や訪問心理士(師)との対話を回避したり後回しにしたりするケースもあるが、結局は心理士(師)の負担を強いることになるため、論外であり、そのようなお粗末な対応法は速やかに変容することが必要である。






nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント