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心の変容をもたらす関係性要素 [心理]

CLの心の成長をもたらすためには、変容のためのコミュニケーション関係が成立していることが必要である。

訪問先で、クライエントの状態が変化していることを観察することがある。CLと身近な支援者との対話を聴いていると、コミュニケーション力が向上することで、身体化や行動化が、言語化に良い意味で変換されていること等、クライエントの成長がみられる場合と、状態が変化しているとは言えない場合がある。CLにより、介入のタイミングが異なるため一概には言えないが、クライエントの成長が顕著にみられるケースは、変容をもたらす関係、そのための良好なコミュニケーションが成立しているかが問われると思う。

 他方で、何回訪問しても、この支援者とのコミュニケーションの対象となるクライエントは、明らかに対応を間違っているか、一部の身近な支援者が逆転移を起こしているゆえに、心の成長がストップしていると感じることがある。時に気づいた時は時すでに遅しのこともある。心理臨床のトレーニングを受けず、単に自分の思い込みで対応を進めてしまい、反省の機会をつくらないため、自己変容がもたらされない悪循環の関係が形成される。甘えが助長され、不満を抱えた一部クライエントからクレームを受けるようになり、ひいては、有資格者に対して、クライエントの所在も確かめずに、際限のないニードを求め始める支援者もおられる。

 指導者が対応をする折には、どうしても、理屈が先立ってしまうことが多く、CLの前頭葉に働きかけても、頭で分かっていても、気持ちがついていかない場面に出くわす。支援者との対話の中では、最低限のルールを守ることを旨とし、指導的な言葉を随時入れていく。しかしながら、そのコミュニケーションは、意識の表層部分でのやり取りがされているため、心の奥に働きかけるまではいかず、深層にアクセスすることが難しいことがある。

 構造化されたカウンセリングや心理療法の場では、短時間に凝縮された時間の中で、CLの心の変容、ひいては、認知行動変容に向けられた深層心理へのアプローチがされている。それに対し、確かに理屈では首肯できるのだけれど、意識の表層への働きかけであると感じる内容で、何か違うと感じることがある。そのような対話をしている場合には、CLとの最低限の関係性は保てるが、主訴解決に至る変容には導かれず、同じ心の次元をぐるぐると回っていることに気づく。確かにそれに気づき、クライエントに効果的介入ができれば良いが、必ずしも、適切な時機に介入する働きかけがしやすいよう支援者側がリファーしてくれるとは限らない。また介入するCounselorの心のエネルギーが充填されているかという問題がある。介入のタイミングを得ることが難しく、時間が経過してしまうことがある。

 複数のクライエントを一度に対応しようと、ときに身近な支援者が集団心理面接のようなことをやり始めることがあるが、しかし、集団臨床心理面接や集団精神療法の基本を理解しておらず、また何千時間の臨床心理トレーニングを受けた経験がない場合、先ず、集団コミュニケーションの場を作る段階から初歩的な点で間違いを侵してしまっていることに気づく。発達障害や、統合失調症、リストカットを繰り返すクライエントを前にして促進者のスキルが必要という基本を知らず、未熟な対応を複数のクライエントに対し同時並行的に試行してしまうため、各々の顕在的かつ潜在化されたニーズをとらえず、自らの思い込みでグループプロセスを進めてしまうことになる。  全くグループの存在を無視するクライエントがいても、それぞれの責任として、指導者に報告してしまう。あたかも自分の対応が粗末であったことを振り返ることができない。このような関係性秩序は、クライエントの心の成長を抑えてしまう。ペーパーテストだけで資格を取得したとしても心理臨床トレーニングを受けていない者が身近な支援者として仕事を継続することにより生じる問題がある。    

 変容のために必要な深層意識への効果的な介入が行われるためには、クライエントを取り巻く関係者に向けられた個別の心理教育が必要であるが、時にその瞬間が訪れるのを待つ時間の方が長いと時折振り返る今日この頃である。そのような思いを再び想起した。

岡ちゃんの心のつぶやきノート: 面接枠の構造化の問題: SSブログ (ss-blog.jp)


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