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共感効果に関する所見 [心理]

共感は「真実にたどり着く要素ではない」旨の見解は、CLの病態水準においては、一部だけ当てはまる場合があると解される。

共感の正体 : つながりを生むのか、苦しみをもたらすのか

共感の正体 : つながりを生むのか、苦しみをもたらすのか

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  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/03/26
  • メディア: 単行本
スタンフォード大学の共感の授業――人生を変える「思いやる力」の研究

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こころの症状はどう生まれるのか―共感と効果的な心理療法のポイント (大阪経済大学研究叢書 第 75冊)

こころの症状はどう生まれるのか―共感と効果的な心理療法のポイント (大阪経済大学研究叢書 第 75冊)

  • 作者: 古宮 昇
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  • 発売日: 2011/05/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
共感の効果は、CLの主訴解決の観点から意味づけられる。即ち、健康度が高いCLはもとより、健康度が低い(病態水準が高い)CL、Ptにおいては、抑圧された感情(欲求)を言語化し、表現する過程で癒しに導かれ、問題に向き合う心のエネルギーが回復する。その中で、気づきや想起のプロセスは、避けては通れない。行動変容にせよ、認知の変容にせよ、自己決定の媒介要素としては、自らの隠れた気持や感情(欲求)に気づくということが不可欠だからである。反対に、気づきを媒介しない自己決定は、本来の自己決定でなく、認知行動の変容が見られたとしても、一時的で持続しにくい。従って、共感効果として導かれる、CL(又はCo)の気づきや想起は、認知行動の変容に不可欠なプロセスであると捉える。健康度の高い健常者のCLは、構造化連想法による右脳の閃きの中で、自分の行動を妨げる要因に気づくことができるし、病態水準が重いCL(Pt)との関係では、緩やかな共感に導く中で、癒しに導かれる。その中で、心のエネルギーが回復し、自我状態が強化され、時に、時間を要しても、CL自身を省み、自己観察することが可能となる。これは、重度のうつや双極性障害、統合失調症の前駆症状の複数のCLとの関係において、傾聴過程で共感の質が保たれるならば、微少の有意差内で適応されると解される。もっとも、ASDほか、発達障害のCLや、BPDほか人格障害的要素が強いCLに対しては、共感は、ラポール形成の役割を果たすが、ややもすると、状況依存性を助長する危険を伴う。そこで一定の段階で、主訴解決に導くため適切な方法に切り替えていく必要がある。即ち、ASDやBPDのCLの場合、共感によってもたらされる気づきや自己決定のみでは、脳の機能不全や、パーソナリティ特性、気質に基づき形成された精神症状や行動症状、ときに生じる身体症状が生み出される流れを断ち切ることは事実上難しいからである。時機をみて、CLの行動特性に即したアプローチが必要となってくる所以である。その意味で共感が本質的要素となるかに関しては、おもに共感効果として、CLの主訴との関係で検討されるものであり、一慨に、「共感は真実にたどり着くものではない」とは言い切れないと思われる。とくに共感は、CLとCo相互の関係の中で、信頼関係を形成し、CLの行動変容や自己成長の要因となりうるものと省みた時、傾聴プロセスを、CLの健康度(病態水準)に応じて、カウンセリングとするか、心理療法とするかは少し置いたとしても、CLに何がしかの変容をもたらす要因として、検討を要する要素と解される。そして、心理学、臨床心理学とするか、認知行動科学とするかは、しばし、脇においたとしても、実証科学として、どのような効果をもたらすかということは、今後、大切な営みとなると捉えるのである。共感は、C/Gや心理療法において、信頼関係を形成する上で、「言及する必要のない当然であたりまえ」のものとしてとらえた場合、仮に100人のSVと、100人のC/G実習生がいる場合、それぞれが当り前と思い込んでいる認識のもとに、C/Gや心理療法が展開され、ずれを生ずる。共感とは何か、どのように表現するか、C/Gや心理療法の分野で、様々な研究が積み重ねられてきた。しかし、脳科学が解明されてきた今日においては、心理学、臨床心理学といえど生理学的アプローチを避けては通れない。何故、療法によっては、目に見える「行動」と、その前提となる「認知」や「感情」は研究対象としても、「共感」は研究対象とならないと今後も決めてしまうのか。尚、「本当はどうあると良いですか」とCLの期待(欲求)の明確化する発問をすると、CLの前頭極脳波は、0,1%水準の有意差で、α波が出現する。前頭極(Fp1-Fp2)の弛緩集中状態が促進され気づきが生じているのである。そして一部ではあるがASD、BPDのCLにも観察される。他方、CLの健康度(病態水準)による現実検討力低下に応じて、α波の出現頻度は、低減すると推察される。以上、(臨床)心理学と捉えるか、認知行動科学と捉えるか、公認心理師国家資格の有無に関わらず、共感効果の指標ともなるα波の出現頻度には、一定の法則がある。尚、私見では、神経心理学の領域でもあると解する。

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