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プロセスを知らせずに結論だけを知りたがる心理 [心理]

心理士のアセスメントには、一定のプロセスがある。そのプロセスの大切さを知らずに結論だけを知りたがる人が多いことを痛感する。若い心理士からも同様の率直な意見を聞くと、難しい状況の中でアセスメントを強いられているのだと振り返る。


第14巻 心理的アセスメント (公認心理師の基礎と実践)

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[三訂]臨床心理アセスメントハンドブック

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心理士が訪問する場では、医療、教育、産業、福祉等々、様々な場がある。その中で、限られた情報の中で助言を求められることがある。しかもその助言は、半ば結論めいた内容を問われることが多い。しかし的確な助言は、実態の把握に即した適切なアセスメントに基づくからできるものであり、要支援者であるクライエントの様々な情報を踏まえた内容が必要である。具体的には、要支援者の観察から始まり、相談室での心理面接、保護者、関係者の面接に加え、連携している人や組織、医療、相談機関との連携に基づく情報の統合なくしては、本人の特性と行動傾向を正確にとらえることは難しい。当初は限られた情報が提供されるためそれまでの情報を踏まえてアセスメントを行っていく。しかしながら多くの人は、要支援者本人やその保護者にも合わせずに結論だけを求めてくる。心理学、臨床心理学の領域で大切なことは、関与しながら観察することで、心理面接に加え、心理検査等も行う中でアセスメントの判断を重層的に深化させる中でより真実のアセスメントに近づいていく。

 しかしながら限られた情報の中で結論めいた助言を端的に求めてくる、言わば白か黒かの思考に基づく発問を投げかけてくることが多い。そのような状況の中では、常に事実を二つに分けた発問を繰り返し、対象の特性に関する分岐点を探りながら要支援者の実態に即した心理学的評価を行っていく。

 当たるも八卦当たらぬも八卦、偶然当たった助言には、賞賛の評価を与え、そうでない助言には、結論には至らないと否定的な態度を示す。アセスメントのためには、限られた条件の中でも誤りのない判断を下すためにプロセスの把握が必要であるのにそのプロセスの大切さを否定し、常に正しい結論を求める姿勢は、他ならぬ要支援者やその保護者にとって適切な支援に至らなくなる要因となる。そのようにケースカンファレンスやスーパービジョンの中では気づきに導くようにしている。

 今の情勢になぞらえると、あたかもウイルス対策の薬やワクチンを研究するプロセスをないがしろにして、まだできないと上から目線の態度に変える人々のようである。ご自分が困った時は、悲しい目をして助けを求めてきたのに、いざ解決して暫くすると態度を180度豹変させ感謝を忘れてしまう。その傾向は、一つ一つの不遜な態度や言葉の端々に顕れていることを省みる必要がある。要支援者の評価が低下して距離化してしまうのは、他ならぬ要支援者への関係性に由来していることが多い。その責任を専ら心理士の責任にされても困ってしまうのが率直な印象である。




 もっとも他方で、発症した場所が明白であるにも関わらず、感染力のあるウイルスを世界中にばら撒いた責任を他国の責任にすり替えるのはもっての他あることは言うまでもない。

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