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教師の抱えこみがもたらす児童生徒の心の危機 [心理]

年度末、これまでのSC活動の中で、想起することは、児童生徒の心の危機がしばし教師、特に担任の抱えこみが児童生徒の危機をもたらすという現実である。

精神療法第39巻第3号―特集 自閉症スペクトラム障害の人々への誤解と偏見

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2013/06/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
誤解だらけの「発達障害」 (新潮新書)

誤解だらけの「発達障害」 (新潮新書)

  • 作者: 河野 俊一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/11
  • メディア: 単行本

年度末が近づくと、要支援児童生徒の成長と支援を振り返る機会がある。当初より報告されているいわば要支援児童生徒は、校内支援体制や外部機関連携を通じて、何らかの手立てを施している。ゆえに現状を把握し対応策に対して互いにある程度共有している。しかしながら、突然、担任教諭から、実は、児童のAが不登校傾向ですとか、いじめの対象になっているとか、降って湧いたように突然、出てきたりして対応を迫られることがある。時間があれば、保護者と連絡を取り保護者及び本人面接につなげる余地があるが、しかし、あまりにも残り時間が限られた段階になり、突然、言い出してくるのである。通常、校内で出会った時に、声かけをするが、時に数百人を超える児童に加え、少なくとも数十人の教師に対しては、全てこちらから声をかけることは困難である。

 その中でも事前予防の姿勢を堅持している担任教師は、児童生徒に何か問題が生ずる前に、SCに声をかけて下さるか、外部機関との連携をとる努力をする。ゆえに、予防措置がとられているので、事後的対処であたふたすることは極めて少ない。しかしながら、その努力をせず、児童の主訴を抱えこみ、発達障害の特性を含め自己判断してしまうために、時に取り返しのつかない事態に追いやられてしまうことになる。ある日突然、30日以上の要件を超えましたとか、いじめが解決されず、また、家族問題が解消されず、登校が難しくなり1か月になるとか、耳を疑う報告を聴く時があった。

 また発達障害の特性がある児童生徒の特性について、医療や臨床心理士等専門家と連携せず、自己解釈に任してしまうため、暫く行動症状が落ち着き適応していても、ある日突然、当初の主訴が再燃し、授業での適応すらできない事態に出くわすことになる。

 行動観察で、各教室を訪問することがあるが、事前予防の措置が適切に行っている担任教諭は、全ての要支援児童生徒が、それぞれのペースはあるが、自己成長をとげ適応に向けた変容をもたらされていることに気付くことがある。それに対し、自己理解だけで解決しようとする人は、たとえ、一時は、適応を見せているように見えても、実はいつになっても、主訴解決と取り組もうとしないため、一触触発の様相を呈していることに気付かないでいる。ある時、複数の児童がそれぞれの主訴が噴出し、同時並行的に複数の児童生徒及び、保護者の諸問題を解決に導かなければならない現実に直面する。一人の担任教諭が複数の不登校児童生徒を抱えていたり、慢性的な不適応状態にある発達障害の児童を抱え、児童の特性に振り回されているケースや他児童に顕著に悪影響をもたらしているケースに直面するのは、時折、否、しばしあることである。そして、それは概して担任教諭の専門性なき自己判断で解決しようとする姿勢から導かれる危険がある。このような状態を幾度となくみてきた。もうそろそろ、目を覚ました方が良いと思う。特に、目ざめの役割を担うのは、同校の教育相談主任であり、その手腕が問われてくる。

 保護者のイラショナルビリーフに加え、児童生徒の心を危機的状況に陥らせるのは、児童生徒の一番近くで見守っていたはずの担任教諭の不理解と思い込みであることを振り返る必要がある。


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