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心理検査の結果と適応改善効果 [心理]

心理検査は、CLの適応の改善に向けて用いるべきものである。しかし折角、心理検査を行ったのに、その結果の解釈を誤解したり、その後、不適応が増す等、検査結果が必ずしもCLの適応改善に役立っていないケースがあることも見受けられる。

子どもの発達検査の取り方・活かし方:子どもと保護者を支えるために

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心理検査のフィードバック

心理検査のフィードバック

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 WISC等の心理検査を評価する機会があるが、心理検査を行った後で、その数値に基づくプロフィールパターンを正確に読み切れず、CLの本来の姿を映し出していない記述になっていると解されるケースや当該検査結果をCLの適応改善のために、有効に活用しきれていないケースがある。
 そんな時、検査(者)を信頼しながらも、CL本人との面接を再度行い、行動観察を重ね、代表的プロフィールパターンと照合しなおすとともに、DSM5の要件を熟読吟味して果たして、自閉症圏にある等、発達障害の評価に本当に当たるのであろうか振り返る時がある。この子は、発達障害の何かに当たるとか、自閉症圏にあるといった言葉を知識のある指導者や支援員から耳にすることがある。結果として心理検査に移行することがある。本当に感謝している。しかし、折角、心理検査を行ったのであれば、その検査結果を有効活用することが本人の利益に資するはずである。そして、プロフィールパターンと比較し、また本人と面接をしても、DSM5の自閉症スペクトラムの要件には該当しないという心証が得られる時がある。
 そんな時は、原点に戻り、CL本人との面接や保護者からの生育歴聴取、他の情報を総合して、既に行った心理検査の指標を読み直して、改めて解釈しなおす必要がある。発達障害に当たるとの心証が得られた場合、それでは何の範疇に該当するのかDSM5の要件に照らして吟味すべきである。専ら愛着の問題から生じている心理特性を、一律に自閉症圏と評価する動きに対して極めて慎重に判断するべきであると感じている。
 仮に当該検査結果が正しい内容であれば、その後のCLの適応改善に役立っているはずである。しかしながら適応改善に至らず放置されているケースを振り返ると、折角の検査の苦労が実となって結実しているか感じてしまう今日この頃である。
 もっとも心理検査の記述にも原因がある。それは、下位検査項目の数値が分からない記述になっているため、当該検査結果が読み切れないケースである。検査結果のプロフィールがある意味では曖昧であることにも起因している。そのような曖昧なプロフィール結果を紙一枚でフィードバックすることは難しく、その場合、再度、検査を取る気持ちで観察や生育歴聴取等を行う必要がある時もある。時に医療機関や教育相談機関など守秘義務を重視している所は、検査者と連携がとりにくい所もある。本人又は保護者からの口伝を通じて解釈せざるを得ない場合もある。しかし心理検査に関する理解が希薄なCL本人の言葉を通じて伝達されても重要な要素が漏れ落ちる危険は往々にしてある。検査の結果が生かし切れていないと嘆く保護者の声は、下位検査も含めた伝達方法にもあると捉えている。
(追記)
検査者が、正確に検査のプロセスを履行できることと、その結果、一定の数値が出てプロフィールが形成されるが、そのプロフィールをどのように評価するかが問題である。即ち、検査によって出た結果の数値という量的側面と、DSM5に照らし、どのような基準に当たるかという質的側面を統合して正確に評価に結び付けるかという問題がある。概して、検査を正確に履行できたとしても、その評価の段階で、DSM5に明記する各々の診断基準を逸脱してしまう誤りが出てくるケースが少なからずある。特別支援の知識がある教職員の中にも、テストの施行後、少なからずあるように思える。それは、プロフィールパターンを量的に解釈する作業と、診断基準の概念と照合して判断する質的な解釈の作業に乖離が生じてしまうからである。量的側面を強調して理解すると自閉症圏等に当たるという思い込みがあっても、診断基準に照らしても、典型的なプロフィールパターンと照合しても、その質的側面において、明らかに該当しないということが少なからずある。その解釈の誤差が、適応改善に生かされるか否かの分水嶺となる。
  他方で、DSM5の自閉症スペクトラム症の特性に顕著な行動を示すケースもある。その時、過去の体験の積み重ねにより人に対する恐怖が生じ対人関係を回避して不登校傾向が強まることがある。そのようなケースでは、速やかに保護者に医療機関診断を打診する。しかし、教員の中には、その特性を理解しようとせず、専門家に耳を傾けようとしない人もいる。経験の浅い心理士が保護者面接を引き継いだ時に、間違ったガイダンスをすることで症状が悪化しているケースもある。ひいては、当該教員が、自分で抱え込んでしまったことから生じている。専門家の助言に耳を傾けようとしない経験主義に基づく自己解釈に気づく必要がある。

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