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いじめ認知に対する臨床心理対応と留意点 [心理]

いじめ認知への対応は、本人の訴えを傾聴しながら、その心情に共感するとともに、同情に至らず、巻き込まれすぎることなく、クライエントの訴える語りの中で、事実を浮き彫りにさせていくことに留意する必要がある。

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いじめ認知への対応は、学校はもとより企業の中でも、powerharassmentにつながる認知として、心理支援の中で、慎重に事実を特定する必要がある。特にクライエントは、過去のいじめ認知の体験記憶が明確な認識として脳の記憶に保存されている場合と、時が経過する中で、事実に関する記憶が、いつの間にか変容してしまうことがみられる。その時、誰が聞いてもいじめであると認定される記憶と、周囲の証言を踏まえると、必ずしもいじめとは評価できないこともある。クライエントの過去の生育歴の中で、例えば、学童期にいじめ認知につながる心傷体験がある時、その記憶による辛さの感覚が汎化されて思春期や青年期、時に成人期にまで心傷イメージの余波が波及してくることがある。そこで、そもそもいじめの事実は存在したのかということが問題提起される。過去の記憶と現在の体験との記憶に関して「時間性の混同」が起こることが問題解決を難しくさせているからである。


 いじめの事実がないと言い切れるケースがある。それは、心理面接の中でクライエントが訴えていたとしても、その期間、家の中にひきこもり、会社や学校に外出してないことがあきらかな場合である。かつて一度のいじめ体験をした場合であっても、その心傷記憶の辛さの程度が尋常ではない場合には、上述した過去と現実の記憶の時間性の混同を起こし、あたかもつい最近、体験したかのように語りの中で表出することがある。

 その時、事実ではないことが明白であったとしても、クライエントの語りの背後にある気持ちや感情に焦点を当て隠れた欲求を捉える中で、表出した瞬間の気持ちに共感することが大切である。共感する過程で、クライエントが自ら冷静さを取り戻し事実を峻別することができるようになった段階で、クライエントの記憶の中にあるいじめの事実といじめの記憶を分けて捉えるように導いていく必要がある。

 

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