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現実検討力の脆弱性 [心理]

心理支援の場では、時に現実検討力の脆弱性を抱いたクライエントと向き合う機会がある。

思い出すと心がざわつく こわれた関係のなおし方 (心理療法士イルセ・サンのセラピー・シリーズ)

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心理学的支援法:カウンセリングと心理療法の基礎

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ころんで学ぶ心理療法―初心者のための逆転移入門

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    構造化された心理面接の中では、その脆弱性は保護されるが、面接枠の外では、脆弱性が他の形で露見されることがしばしみられる。心理士の資格をもった有資格者の心理支援の安全性が脅かされることとなる。

   心理面接の枠の中では、心理士(師)の技法を駆使して、クライエントの自己成長に寄り添いながら自己成長を支援するが、その枠の外では、様々な支援者が介入することがある。時に教育や福祉、医療をはじめ、心理士(師)の有資格者ばかりではないため、医師や心理士(師)の支援方針を理解しないまま、自らの判断で介入することがある。それは他の一般の健常者と同様にみなして対応することがあるため、時に安全な範囲を逸脱した支援となる場合がある。心理士の心理面接を通じて、心のエネルギーが改善されてくる中で、現実検討力が一部回復され、現実と向き合うために周囲と交わる機会が増えてくる。そのための自己決定の機会が徐々に増えてくるのが通常である。しかし当該クライエントの現実検討力は、治療過程の中で辛うじて心のエネルギーが回復される中で改善されてきたものであるため、例えば、過去の心傷体験に基づく心傷記憶が癒えないまま、現実を生きていることがしばしみられる。医師の治療と心理士(師)の心理面接を継続する中で、徐々に症状が緩和されてくる中で他方で、いまだ癒えていないものが脳の中に残存している場合には、過去の心傷体験に基づく心傷記憶と新たな体験の中で同期した際、いわばパニック症状が発して現実検討力が著しく低下し、事実と異なることを言い出したり、他罰的な思考の持ち主の場合には、転移感情が陽性転移から陰性転移に転じ、全く関係のない場面でも攻撃行動に出る場合がある。

 それを平素見守る保護者が子供の主張をうのみにして周囲の責任を主張する場合もある。その時には、保護者が子供の言いなりになっていることが分かる。心理面接後、何等かの事情で面接室を去らずに待機している場合、保護者に対して、今現在のクライエントの行動は自発的なものであるかその都度確認する必要がある。確認した所で、保護者から自己決定に基づく自発的な行動であることが確認できたならば、面接時間外であれば、もはや心理士(師)の介入する所ではない。例えば、「何かあったら引き返せばよい」と本人が言っていた旨保護者の方が、クライエントの行動を見守り、言わばそのまま放置していたのであれば、それはクライエント及び保護者の責任領域の問題である。特にその保護者が医療関係の有資格者であればなおさらである。主治医の指示を明確にとらえ、その範囲内の行動か否か振り返る法的な義務があるからである。

 もっとも保護監督の立場にあるべき保護者の方は、時に現実検討力の脆弱性を抱いた自分の要支援者が時に、心理面接終了後に、他の支援者の声掛けに応じて、行動化した結果、心傷記憶に関わる出来事に直面したり、その場面では大丈夫にしても帰宅後暫くして、当該要支援者がフラッシュバックし体調を崩すことがある。その場合、当該保護者の見守りが適切ではなかったということに帰結する。振り返れば、要支援者の保護者として主治医の指示を常に念頭に置いていたか、その要点を心理士(師)と共有する営みを続けていたか、心理面接終了後もその主治医の指示及び心理士(師)の心理支援にまつわる指導を理解し実行し続けていたかということに帰結する。

 仮に心理面接後、他の支援者の声掛けに基づき、要保護者であるクライエントが自ら自己決定で社会的な交流を深める過程で生じた行動であり、その行動を看護師など医療資格がある保護者が放置していたのであれば、それは当該クライエントはもとより要保護者の責任範囲の行動であると言える。特に要保護者が刑事責任年齢(14歳)を過ぎた時点で、現実検討力の脆弱性を脇に置き、例えば心理面接枠の外で、「無理に支援に連れていかれた」等と不満を伝えてくる場合が稀にある。しかしそれは自業自得の物語であり、事実と異なる内容が多分に含まれている主張であれば、「虚偽」ないしは、「偽計」に当たる行為として諸々の法律の構成要件に該当する有責な行為となると解される。心理士(師)はもとより、周囲の支援者は、Adultの自我状態を発揮し事実を証明する根拠を様々な記録をもとに準備する必要もある。もっとも支援者が心理に関わる有資格者ではない場合や、心理職の経験が浅く、心理研修を受けていない場合には、自ら独断での支援行動はむしろ自粛する必要がある。専門医はもとより、心理士(師)有資格者の指導ないし指示を受ける必要がある。



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