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キャリアカウンセリングと進路相談 [心理]

人は皆進路を選択する時期がやってくる。その折、キャリアカウンセリングが機能するが、進路指導や進路相談を必要とする場面において意外と「キャリアカウンセリング」という概念が理解されていないと感じることがあった。

キャリアカウンセリングは、治療的心理相談というより開発的な心理相談の範疇に属する重要な概念である。例えば、学齢期の子供達が卒業の時期を控えると必ず進路選択の岐路に立たされることが通常である。保護者が特に心配する家族の場合には、それが早い時期に訪れるが、進路選択の場面に直面していない人の場合には、意識が希薄で、そのようなテーマも持ち掛けてもあまり動機付けられないのが通常である。他方で、定められた学齢期を修了する時期になると誰もが4月又は9月以降の自らの進路選択に直面せざるを得なくなる。

 その際、教職の立場ではないカウンセラーが、クライエントの相談を受けることがある。何故クライエントが相談を持ちかけるかと言えば、心の中に葛藤があるからである。そればかりか心の葛藤が潜伏している場合もあり、その葛藤の背後にある期待や要求の気づきに導く必要がある。そのために隠れた心の気づきに導くCounseling技術が必要となってくる。当初から意識が明確になっている人ばかりではないからである。

 そして、キャリア開発の一環としてカウンセラーと称する立場にある人がクライエントの心理相談に向き合うこととなる。しかしながら、世の中には古い考え方の指導者がいて、そもそもそれは進路指導や進路相談という範疇に位置づくもので、教員の仕事であり、Counselorが立ち入る問題でないと明言する方もおられる。教職の大学や大学院で、そもそもそのような教えを伝授されたのは何時代なのかということでもあるが、現在は、キャリア開発や開発的教育相談という概念もあり、そのような考え方は暴論でほぼ通用しないと言わざるを得ない。

 とある地域の公の調査によると、進路に関わる青年期の子供達の意識においては、殆どが本人又は親もしくは信頼する重要他者で、「教員としてそれほど重要視していない」という分析結果が出ているという。従来の進路相談に対して、指示的、説得的であって、相談ではないとか、指導者の価値観を持ち込んで真の主体性を育てようとしていない」というのである。指導者が「説教口調で一方的に話すだけで相談になっていない」という問題であり、相談活動の在り方を見直す必要があるとも示唆されている。


 またキャリアカウセリングを行うためには、クライエントの気持ちに寄り添い心の気づきや自己決定に導く心理技法が必要であり、傾聴と共感に根差した基本姿勢に裏付けられた経験と資格が重要である。そのような基本的な資格はもとより基礎的な知識を獲得していない指導者が実はあまりにも多く、管理職の方の中にも隠れているケースがある。心理職が会議に呼ばれてクライエントの心理面接の中で進路に関する相談を受けたことを守秘義務を踏まえて共有しようと試みると、直接の指導担当者が関わらない場面での進路相談は望ましくないと旧態依然とした数十年前の見解を述べる人も存在すると聞いたことがある。しかしそもそも大切なことは、心理職がCounselorとしてクライエントの悩みに向き合った際、進路選択の主訴が顕れてきたということであって、指導者の立場にある方の強引な指導ではなく、クライエントの直近の状況を背景とする隠れたニーズに寄り添い、気づきや自己決定に導くプロセスが大切であり、そのようなプロセスを辿る心理技術を持ち合わせていない名ばかりの指導者の方に心理職として付与された開発的カウンセリングの職務に容喙される筋合いはないと言わざるを得ない。

 それは、そもそも旧隊依然とした進路指導の知識に縛られた「キャリアカウンセリング」に関する不理解に起因するものであり、イラショナルビリーフを抱いて会議に参加し、時に心理専門職の発言を抑圧し言論の自由を妨げる形で、大声で会議を仕切り、進路選択ばかりではなくいかに生きるべきかという思いを抱き悩み続けておられるクライエント支援に関わることは、百害あって一利なしである現実に気づく必要がある。

 それが組織の中で事実上人的な圧力をもってまかり通っているのであれば、組織の責任者が偶然不在の形をとっていても、間接又は共謀共同正犯の型式での威力業務妨害(234)、パワーハラスメント等の違法有責な行為に該当する行為となることに気づく必要があるかもしれない。なぜなら直接の指導者では解決しない現実があるから心理専門職へのカウンセリングに訪れている現実があるからである。



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