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U24 スペイン戦-決定力と精彩差が際立った試合の結末 [心理]

東京五輪2020 男子サッカー準決勝 スペイン戦では、延長後半115分、スペインのアセンシオがゴール右から左足を振りぬき、ゴール1点を先制された。結果としてU24森保ジャパンは、準決勝で敗れ3位決定戦を目指すことになった。



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one chanceを決めたSpainフォワード


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決定的場面でシュートを外し続けたU24日本代表FW
日本は善戦したと言えるか。一番のポイントは延長戦に突入した時、久保、堂安という得点力のある主軸を交替させ、海外経験の浅い得点力の希薄な選手を投入したことである。この姿勢に現れているのは、スペインの正確なパスを踏まえた、緻密な攻撃を受け、専ら防御に専念をしたこと、守備から攻撃に転じる際、OA枠の選手(遠藤選手)を始め、幾度となく単純なミスが目立ったこと。特に前半のシュートシーンで林大地選手が決定的なシュートを2本以上外したことが顕著なシーンであった。

 延長後半、交替され投入された前田選手を始め、決定的なシュートシーンを悉く外している。前半のシュートを外した負債が延長後半にまで影響を与え、相手チームのワンチャンスで決定力のある選手がシュートを決める機会を与えてしまったことが日本とスペインの最大の相違点である。そしてこれまでU24日本代表が獲得したゴールは、久保選手と堂安選手の二人で得点をしてきたことが証明された。パスを出したのは、田中碧選手と相馬選手が殆どで双方の連動が得点シーンを生んだと見ている。今回の試合では、延長戦で久保―堂安を外したこと、延長戦を通じて投入されたFW 林、前田、三好らの選手が決定的場面でシュートを外し続けたことが今回の敗因の一つである。


 今日は守りの面では、献身的な姿勢が見られた反面、前線へのパスを含め、複数の選手が集中力を欠いていた。

例えば中山選手であったり、遠藤選手、林選手、三好選手、特にOA枠で選ばれた遠藤選手のミスが顕著だった。

守りに専念する意識が強く出たあまり、前線を押し上げることができず、ボールポゼッション62%-38%にあらわれているように、前がかりで攻めることができず、攻めようとする意識の消極性がパスの正確性に影響した。前線に送るパスが常に相手方にカットされて自陣での攻撃を迫られたことが全てである。

 攻撃に転じなければ、得点に繋がらず、ニュージーランドのように守りを固めても最終的に突破されてゴールを奪われる結果となる。久保・堂安を抜いた日本チームは、攻撃の糸口を失った姿が顕著となった。まるで過日のニュージーランドの専ら守備のチームの姿勢が乗り移ったように見られた。

 相馬選手が延長後半になり幾度となく仕掛けたが、危険なペナルティエリアに侵入する選手がおらず、いたとしても連動性がなく、決定的なシュートシーンがあっても正確性を欠く精彩のなさが顕著にみられた。


 攻撃への意欲が見られない証拠として、ベンチには、三苫薫選手の名前がなく、専ら守備の選手が数多くあったことである。何よりも久保選手、堂安選手という決定的な軸を外したことが森保一監督のミスである。この責任は次の試合-メキシコ戦でとって戴くことを期待している。このままでは、史上最強のチームと銘打って、コロナ禍の中で無観客試合を強行した現実の中で、当初から開示していた国民への期待に背く結果となっていることを直視する必要がある。久保―堂安の代わりに入った選手の責任は大きいし、判断を下した森保一監督の重大な場面での重過失であると言わざるを得ない。後半115分、1点先制された後、攻撃に転じるはずであるが、守りの選手を投入したとき、目を疑った。118分頃から選手たちはようやく焦り出して、パワープレイに転じようとしたが、もしそうだとしたら、90分の枠内で、正確なパスと前線の押し上げでゴールという結果に結びつけて欲しかった。

今まで攻撃の結果が出なかった選手達が、決定力のある久保―堂安を下げた後に試合終了まで残り2分になって急いで攻撃のスイッチが入ったとしても遅きに失する行為と言わざるを得ない。


 久保選手の最後の言葉に現れていたように「負けたので何もない。涙もない」ということが全てではないかと思う。一番、大切なことは、決定力のある選手を下げて、決定力のないミスが目立つ選手を投入して試合に臨んでいること、その判断を監督自ら行っていることである。


 率直にこのスペインとの試合は善戦したとは言えない。得点場面では、1舜の隙から生まれたという専門家のコメントもあるが、それだけではない。日本の実力からすると専ら守備をすることを選択した監督の戦略ミスと交替選手の技術によって導かれた必然の敗戦だと言わざるを得ない。決勝戦はBrazilとSpainという試合となった。3位決定戦は、Brazilに準決勝でPKの末敗れたMexicoとの闘いとなった。銅メダルをかけた戦いは、エースを欠いて勝利できるほど、甘くはないことに加え、ゴールキーパーの谷選手は、スペイン戦でも何本もの相手方のシュートを止める好守備を見せたが、ニュージーランド戦を経て疲弊しきっており、前半からシンプルなパスミスがみられた。3位決定戦では、ベストな状態にある大迫選手や鈴木選手を投入しフレッシュな状態で戦うことも検討されたい。


【追記】三位決定戦では、対メキシコとの結果は、3対1で敗れ、ロンドン五輪と同じ4位の結果となった。
    決定的な要因となったのは、OA枠で選出された選手がペナルティエリアでPKをとられたことである。
    仮にMexico選手がVARで再現しても審判が判断することが難しい形で当たりに来たとしても、キーパー
    を信頼して誤解を招く対応は控えるべきであった。もっともOA枠の選手も連戦の末、疲労が困憊して
    おり本来期待される体のキレが失われていたことは、別稿で指摘したことである。
     後半、投入した三苫選手が数分でゴールを入れたことを考えるともっと速く交替する必要があったし
    試合の最初から疲労している選手を休ませるべきであった。それはゴールキーパーも同様である。
     PKによる得点が試合を決定づける方向に導いてしまったことを考えると、監督による疲労への配慮 
    とマネジメントが今後の検討課題となる。メダル獲得を公言していただけに大変残念な結果となった。
      尚、前々日のNHKの解説者の方が、遠藤に期待すると言っていたことが何等かの影響を齎していた
     のではないかと危惧している。疲労困憊の中、前半から攻撃的な動きを見せ、決定的場面で精度の
     甘いシュートを放ったことで数少ない得点chanceを失ってしまった。
      これは陸上4×100の解説者が特定の選手を指名していたことにも言えることである。
    同様に前半、相馬選手が相手方ゴールに仕掛けた時、堂安選手が目に見える所にいるのにパスをせず、     決定的な得点場面で枠を外したシュートを放ってしまった。自ら決めてやろうという気持ちが嵩じて
    結果的に精度の甘いシュートを打ったことは、実績のある選手も任せる心理状態になかったことが
    推察される。ゴールを獲得するための適切な連携がとれなかったことが最大の敗因である。
     別稿で予測した通り、何故三苫選手を投入しなかったのか。怪我の回復状況にもよるけれども
    後半投入後数分で得点を入れたことで明白であるが、1トップで得点を期待されながら零得点に
    終わった林選手をもっと速く交替していたら、メダル獲得につながったことは後半の結果からして
    明白である。U24の練習試合でゴールを獲得したことで形成された監督の信頼感が最後まで引きずる
    ことになるとは思わなかった。今回の戦いは、監督による選手のコンディション管理のための交替
    の判断機会の不適切さと、選手の見極めの不適切さ、ニュージーランド戦以降、連携を導くことが
    できなかったことに起因すると解される。もっとも4強に残ることができたことは、自信になった
    選手もいるのではないかと思うが、自国開催大会でのメダル獲得を公言し、国民に結果期待の意識
    を植え付けてしまったことで生まれてしまった結末であり誠に残念な結果となった。


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