U24 ニュージーランド戦 [学び]
U24ニュージーランド戦では、延長戦の末、PK戦で辛くも勝利した。
PK戦では、goalkeeper谷選手の尽力で4対２で日本が勝利した。ゴールを守る前に、谷晃生選手は、川口能活coachから指導とともにメモを渡され、「ヒーローになって来い」と言われたという。川口能活選手と言えば、アトランタ五輪のブラジル戦で当時Brazilのエース達から20本を超えるシュートを雨霰のように打たれ、ゴールを死守した日本の守護神である。その守護神のDNAの英知がU24日本代表のGKとKICKERを任された選手達に鉄壁のディフェンスのイメージと安心感を齎したのだろう。shoot前の微細な動作からAustraliaの2番手のKICKERのシュートの方向を読み切り右方向に飛んで見事に防いだ。その鉄壁の防御は、Australiaの3番目のKICKERに恐怖心を与え、KICKERの認知の枠を狭め、120分間戦った身体疲労も相まってshootをgoal右上に外させた。その時、谷選手が予測したコースも合っていた。4本目は止めることはできなかったが、鉄壁の守護神のDNAから安心感を受け取ったKICKERが全てAustraliaのkeeperが取れない方向にゴールを決めてくれた。
第一のKICKERである上田綺世選手以外は、全てdefenseを任された選手で、最後のKICKERはキャプテンの吉田麻也選手であった。Pk戦と言えば、過去のWorld CupやOlympicの記憶に悪夢のような記憶が蘇ってくる。シドニー五輪では、あの中田英寿選手が外した。南アフリカworldcupでは、駒野選手がトルコ戦で外した記憶がある。何れも平素、正確なシュート実績があり、決して外さないと期待されていた選手が、緊張と身体疲労から外してしまう偶然性の高い機会でもあった。元日本代表監督のオシム氏は、PK戦になるとピッチを見守ることを回避したことも記憶に新しい。名将であるオシム氏でさえ、ギャンブル性の高い機会として位置付けていることは分かった。しかし今回は、安心して見守ることができた。それは、日本の守護神のDNAを受け継いだ谷晃生選手がこれまでも安定したパフォーマンスを見せていたこと、鹿島スタジアムの本拠地で自ら手を挙げて上田選手が第一のKICKERとなったこと。加えてdefenseの選手達が正確性の高い技術でkeeperの取れない場所にshootしたこと。
このPK戦に日本の勝利と敗戦の記憶が蘇ってきた。次戦の準決勝は、過日対戦したスペイン戦である。スペインは、準々決勝のコートジボアール戦で先制を許したものの、90分過ぎのロスタイムに追いついた末、延長戦で5点を採って勝利している。少し厳しい見方をすれば、ニュージーランド戦のような戦い方では、無敵艦隊スペインチームには勝てないし、決勝戦でBrazil又はMexicoに勝利することが難しいと思う。
その理由は、ニュージーランド戦の戦い方にある。イエローカード2枚で酒井宏樹選手が試合に出場できなかったのは大きい。予選リーグでみられた堂安―久保、そしてその他の選手の連携がうまく働かなかったと思う。
開始数分後に訪れた遠藤選手に訪れた決定的な得点場面でshootを外したことは大きかったし、その後、堂安選手のshootの精度が欠けていた。shootを外した直後、堂安選手は恥ずかし気ににこやかな表情を見せていたように見えた。その試合まで堂安選手は、PKによる1goalのみで、3goalは久保選手そしてその他の選手だった。本大会の主人公はまさに久保選手だった。そのような隠れた気持ちが堂安選手や延長戦で投入された三苫選手の心にあったかもしれない。堂安選手を含む選手達の精度を欠いたシュートを見て、久保選手は自分で持ち込み自らシュートを打とうと思った。しかし予選リーグ、特にMexico戦やFrance戦に見られた顕著な連携が見られなかった。
あたかも三本の矢のように誰かがシュートしたこぼれ球を2番手、3番手の選手がゴールにかけこみシュートする姿がみられなかった。試合巧者のニュージーランドのペースにまんまとはまってしまった。FIFAランクでは明らかに格下であるという安心感もあったかもしれない。しかし後半になり日本が交替の末、戦術を変えた時から、ニュージーランドに攻め込まれるシーンを何度となく作ってしまった。ゴール前にセンタリングを挙げられた時、ニュージーランドの選手の高さと強さを考えた時、危ないシーンが続いた。ただ相手チームも精度に欠いていたことが救いだったのではないかと思う。
準決勝以降の戦いが本当の闘いになる。
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