SSブログ

心理師が察する範囲とその限度 [心理・健康]

心理師が訪問する組織には、組織の管理職を始めとするスタッフとの疎通性が保たれている場と必ずしもそうではない場がある。そして寧ろ疎通性が妨げられている場もある。その中では、察することが求められる機会が往々にしてあるが、限度もあるのが現実である。

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力

  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2017/01/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
マインドウイルス

マインドウイルス

  • 作者: 宗像 恒次
  • 出版社/メーカー: 法研
  • 発売日: 2014/11/28
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
地球人のための超ウィルス入門ー新型コロナウィルスから生命の原理を探る

地球人のための超ウィルス入門ー新型コロナウィルスから生命の原理を探る

  • 作者: 板野肯三
  • 出版社/メーカー: アセンド・ラピス
  • 発売日: 2020/11/26
  • メディア: Kindle版
自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書

自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書

  • 作者: 篠原 信
  • 出版社/メーカー: 文響社
  • 発売日: 2016/11/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
エッセンシャル・モレノ―自発性、サイコドラマ、そして集団精神療法へ

エッセンシャル・モレノ―自発性、サイコドラマ、そして集団精神療法へ

  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2000/03/01
  • メディア: 単行本
組織と自発性―新しい相互浸透関係に向けて

組織と自発性―新しい相互浸透関係に向けて

  • 作者: 高尾 義明
  • 出版社/メーカー: 白桃書房
  • 発売日: 2005/04/01
  • メディア: 単行本
精神分析過程における儀式と自発性―弁証法的-構成主義の観点

精神分析過程における儀式と自発性―弁証法的-構成主義の観点

  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2017/10/31
  • メディア: 単行本
心理師が訪れる環境には、積極的にCounselingやconsultationの依頼をする空気が豊かな場と必ずしもそうではない場がある。突然、相談ルームの通信回線が切断されたり、使用しているマウスやPCを隠匿される等、妨げられる場所もあることは本稿でも幾度となく示唆する所である。組織の委員会に参加していた時間帯を突然変えられる判断も同様である。全体の動きを捉えにくく、また心理士(師)の指導が通りにくい状況にするのも業務が阻害される要因である。先ず前者では、訪問する時間の中で極めて有効に心理師を活用しようという思いに溢れている。そのような場では、時間が構造化され心理面接や心理検査、アセスメント、行動観察、組織メンバーへの声かけ、CLへの声かけや見守り、外部との連携、統計報告の記録、アセスメント記録等、枚挙にいとまがないため、訪問場所に30分早く訪れても帰宅時間までびっしりスケジュールで埋められる現実がある。たしかに大変には大変だが、職業病なのであろうか。忙しさの中に充実した感覚を抱く機会が数多くあるように思われる。そしてそのような心理師とCLとの双方向性が確保される場では、外部の心理師との間をつなぐ存在であるcoordinatorが十分に機能している。他方で、必ずしもそうではない場では、管理職はもとよりスタッフの間に双方向性が欠如していると感じる所もあると思う。何か壁を感じてしまうことがある場合も存在するかもしれない。そしてそのような場所は、coordinatorが存在しないか、存在していても殆ど機能していない場合が多い。加えて管理職のCounselingに関する理解が浅く、上からの指示で心理師を活用する声が上がらない場合がある。その時は、本稿でも示唆したように待ち時間が長くなることがある。しかし待ち時間であっても訪問が契約により義務付けられている場合には、対価を伴う労働時間であり、請負ではない限り危険負担の責任は、訪問先のCoordinator、引いては管理職の責任となる。

 困ったことに、そのようなCounselingに関する理解が希薄な組織では、個別具体的な依頼が少ないため、実は困難を抱えているスタッフの意識との間に解離が生ずる。管理職やcoordinatorは半ば放置していることが基本姿勢であるのに対して、各スタッフは、何とかして欲しいと感じているのが現実である。しかし他方で守秘義務が伴う場合には、そのことを中々開示できない場所もある。その中で心理師が聴こうとしても中々担当者のプライドや完全主義的な思考もあり、開示しない組織もある。具体的には、会議に参加することもなくただ、待ちの時間を過ごしている場面にも出くわすことがある。その中でスタッフの表情を観察すると何か抱えているストレスが改善できないことに対する怒りを抑圧している人達も数多くみられる。それは経験の長い心理師であれば洞察力の範囲であるのが通常である。実は自分が抱えている問題を解決して欲しいとか、その問題を抱えていることを察して欲しいとか、その思いを聴いて欲しいといったニードである。

 心理師も人間であるから、話しやすい雰囲気のクライエントには声をかけたりはするしそれで反応があれば、現在のニードを捉える傾聴に移行することもあるだろう。しかし上記のようにCoordinatorが機能せず、管理職も理解が浅い場で、しかも組織の人々が折に触れ守秘義務が求められる立場であれば、中々開示しにくいにも現実である。しかしながら、どのようなことをしてほしいか訪問する心理師に自己開示しないと中々察することは難しい。それはもう何年もの前に本稿でも「子供ではないのだから、困ったことは専門家に積極的に声をかけて聴く姿勢が大切である」ということは明示している。しかしながら此方から声をかけないと実情が分からない場であれば、大人に対していちいち聞くような姿勢は、本来の連携とは言わない。連携というのは対等の立場にある中で生じてくる言葉である。どこか外部からの訪問者であることから実情を知るためには聞いてこいといった上から目線では、心理師としてもその組織のために役立ちたいのはやまやまだけれどもそのような上から目線の人に頭を下げて聴きながら助言するといったことは、しなくても良いと感じている。そのことで、結局は組織の困りごとが分からずに対応することが難しくなってもそれは、事実上機能しないCoordinatorの責任であるし、それを指導しきれない管理職の能力でもあるので致し方がないと思われる。

 その中で、ニーズにこたえていないと心理師が認知されて不利益な取扱いを受けるならば、誠に残念なことだが心理師が自らの職業的な立場と権利を守るために、本来抜くはずがない権限を行使せざるを得ない時もあると思う。察して欲しいのに察してくれないのは、有資格者に対してご自分達の抱える問題に対して専門的な心理サポートを受けてまでも早急に解決したいというプロ意識が欠如しているからに他ならない。ましてや心理師の業務を妨げる組織もあることは作為、不作為に限らずそれは、業務妨害やパワーハラスメントにおける「過小な要求」として公益通報事由になること、既に法に違反した事実があるのであればその法違反の指摘に対して不利益な取扱いをすることは法違反を積み重ねることにつながるのである。

 前者によって訪問した場所で時間を構造化して充実した時間を過ごせると心理師としての遣り甲斐も高くなり、意欲的に支援を行うことで良き結果に向けての支援の努力が動機づけられる。しかしCoordinatorが機能しなかったり管理職が心理面接に非協力的であったりする場合には、待機時間を有効に活用するために心理師が工夫するのが良いことに加え、その実情を上位機関に伝えておくことが組織の心理支援機能を守ることにもつながる。心理師の助言が組織の活動に生きれば、組織の構成員はもとより関係者は活気づき双方向的なcommunicationのもとに組織の成長を続けていくことになる。例えば現在のようなコロナ禍の中で感染予防教育を心理教育に加えて心理師が行うと組織の方向性が心理教育とともに感染予防に意思統一されるために先ず、クラスターはじめ内部由来の感染者を出す可能性は少ないのが現実である。仮に感染予防教育を含めた心理教育を行っている組織の中で仮に不幸にも感染者が出てしまった場合には、それは、双方向性が確保されていなかったことに起因する可能性が高くなる。それはスタッフはもとより、組織の根元の存在であるCoordinatorを始めとする方々の不理解が原因となっていることを真摯に省みる必要がある。常に「察して欲しい」「私に声をかけて欲しい」と自らの心の声に支配されているスタッフとそれを指導する管理職の方はもとよりのこと、「マインドウイルス」クラスターの根本原因であると言われている。クラスターが本当のウイルス感染を巻き起こしても心理師の責任の遥かに範囲外にある。

感染予防,そしてコントロールのマニュアル すべてのICTのために 第2版

感染予防,そしてコントロールのマニュアル すべてのICTのために 第2版

  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2020/02/17
  • メディア: 単行本
自衛隊感染予防BOOK

自衛隊感染予防BOOK

  • 出版社/メーカー: イカロス出版
  • 発売日: 2020/12/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた

感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/13
  • メディア: 単行本

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント