内観法近似効果 [心理]
Counseling過程では、あえてCounselingを行わないことも効果をもたらす時がある。
白隠禅師の読み方―今に甦る「心と体の調和―内観法」の極意 名僧の読み方 (祥伝社黄金文庫)
- 作者: 栗田勇
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2015/02/23
- メディア: Kindle版
生育歴の中で依存的な行動傾向を学習したクライエントと向き合うことがある。保護者の遺伝的な気質を継承したのかもしれないし、親の行動傾向を学習したのかもしれない。不思議とそのCLとのセッションを行うと、相手に期待できないことに強い怒りが抑圧されていたり、そのような頼りたい気持ちを察して欲しいというメッセージを受け取る時がある。そして心理面接を続けていくうちにその依存度が増し、心理面接の構造化された枠組みを時間を延ばすことや電話をかけさせるなど、過度に要求はエスカレートしていくことがある。その時、クライエントは、もはや過度な対人依存型行動特性が形成されているために、期待が叶わない時の相手に対する怒りで接したり、時に攻撃行動に出ることもあるが、通常は、率直に相手に言えないために周囲に悪口を言うことで当たり散らすことになる場合もある。そのような行動を繰り返しているといかにクライエントと言えど、対応する心理師は警戒心を抱き防衛行動をとることになる。するとそのようなクライエントは心理師の世界から孤立してしまい、有資格者の心理面接を受けること自体、高いハードルを抱くようになることがある。
上記のようなCLのケースでは、先ずある段階で一旦心理面接を終結すると効を奏する場合もあると感じている。心理師とクライエントが終結又は中断することで関係が距離化され、これまでの心理面接を通じた関係性を冷静に振り返られるようになる。すると、本来これまでの気付き上げた関係性が、心理師の配慮に基づくものであることに気付くようになる。すると当たり前の関係性が「ありがたい」存在であったことを感じ、心理師を始めとする周囲を想起するようになり、感謝の念を抱くようになる。するとあたかも内観法で生み出された感謝の念のようにクライエントを自己成長に導くことがある。感謝の念を抱くと周囲に対する気持ちや態度がこれまでの過度に依存的な行動特性と180度変容するために周囲の見方が変わってくる。すると関係性の変化が表れてくる。
時折、これまでの行動を振り返り感謝の念が伝えられる機会が生じた時、また新たな心理面接が始まる。これを内観法類似効果と操作的に定義することができる。そのような貴重な経験に出くわしたことがあり、人間存在の有難さを感じた出来事があった。対人依存型行動特性による意識が顕著に切り替わるpointは、何事も「求めすぎていた」に気づく瞬間であると改めて感じた。
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