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クライエント(CL)の主訴を忘れた対応 [心理]

CLの心理支援を複数で行う中で、当初訴えていた症状が緩和することがある。それゆえ本来の主訴を忘れて対応を続ける人がいる。しかし、症状が緩和されたのは一時的であり、根元の部分での変容が現れなければ、当初の主訴は解決されていない。そのことを知らずに主訴を忘れて対応する支援者は、ある時最も危険な困った存在となる。

スーパービジョントレーニング:対人援助専門職の専門性の向上と成長を支援する

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増補改訂 心理臨床スーパーヴィジョン―学派を超えた統合モデル

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スーパービジョンで磨く認知行動療法

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当初心理士(師)のもとにとある主訴を訴えて訪れたCLが、心理士(師)のCounselingを経て一回、又は2回で当初の症状が緩和することがある。それは、症状の背景にあるストレスに気づきその背後にある期待や要求を言語化する等表現し、重要他者に伝える等、症状緩和のステップを踏んだからと解される。一人のCLを集団で支えることが組織ではあるが、ある時、同時に関わった支援者がCLが当初訴えていた症状が緩和していることを以て解決したと錯覚に至る場合がある。その時、当該支援者は、CLの主訴を忘れて対応するため、もうすでに解決したと周囲に触れ回ることがある。時に自分が関与したことで解決したという似非支援者も存在するため、CLの支援は停滞することとなる。そこで、当初インテイクをした心理士(師)有資格者が再度CLや保護者と面談すると、やはり当初の主訴は解決されていないことが判明する。その主訴が解決するためには、もっと違う観点から認知の深い部分に焦点を当ててCLの認知行動変容に向けた構造化面接を中心とした組織的アプローチを行う必要がある。心理士(師)の有資格者であれば、そのような厳格な見立てを行う中で心理支援を慎重に進めていく。しかし支援者の中には心理支援の有資格者ばかりではなく、心理士(師)を志す者であったとしても、特に経験がおありの方の中には、自らの経験則の中で主観的な見立てを行い、CLの主訴を取り巻く環境調整や本質的な認知行動変容に導かれていないにも関わらず、もはや症状が緩和したことを以て、主訴が解決したと誤解している人もおられる。

 その場合、当該無資格の支援者が介入することによって専ら解決したと主張しようとするあまり、症状が解決したと関係者に触れ回る人がいる。特にケース会議の中で既に症状の緩和=主訴の解決と、CLの保護者やその他支援者に伝えてしまうため、CLの重要他者である方は、既にほっと安堵してしまいCLの主訴の本質的な部分を解決に導く継続的なアプローチへの意識を忘れてしまう。そうなると面接の構造化による支援が持続できないため、CLがある時、鍵状況で症状がぶり返し返って解決が難しくなる。そうなってくると本当に複雑なプロセスを経ても中々改善しにくい状況に陥る。国はそのようなことを防止するために心理士を育てる財団を創ったり、国家資格を作ったと解される。心理師の国家資格が出来て2年経過したけれども未だそのような訴えが臨床の現場では聞こえてくる時複雑な思いになる。

 一人のCLを取り巻き、複数の支援者が集まる中でのコミュニケーションの中で一番困る行動は、①インテイク面接で心理師がとらえた主訴を自らの素人判断で勝手に解釈して、方策を見立て、理論的理解の本筋をすっ飛ばして、様々な支援策を提案し、保護者の理解や支援の現場を翻弄する。②混乱した場を本筋に戻すために心理師自らスーパービジョンを受けてこれまでの支援を振り返り再統合する上で、専門的理解の下で整理した支援のプロセスを、無資格の支援者が横から入り込んできて、混乱させることである。当該無資格の支援者の方は、当初の症状が緩和されたことを以て、主訴が解決したと誤解しているために、支援の方法について適切な方向性を以て共有することが難しくなる。まさに悪しき経験主義が支援の現場に混乱を招く要因となる。③ケース会議の中で発言する心理師の発言の重さを感じることなく、付け焼刃で体験した知識を滔々と専門家気どりで触れまくようになる。

③そのような状況を省みた時に思うことは、主訴を忘れるということは主訴がもたらすCL自身の認知行動やパーソナリティーの本質を理解していないまま、支援に関与することがあまりにも危険極まりない行為であり、CLの早期の主訴解決のためには、断じてCL支援の専門家集団での指揮者にはなり得ないし、常に有資格者である心理師から指示を受ける存在でしかないと改めて省みる今日この頃である。




 静寂を保てない相談室、自己開示を続ける不適接な指導が続く面接室、CLの自己成長に導かず、過度な依存性を助長する相談室、心理面接の開始後、CLの気づきが訪れている時に静粛な空間が乱される面接室、話を聴いてストレスを解消すること、自らの知見の正当性を確認するため、スーパービジョンを受ける素振りを見せながら、心理師の助言には全く従わず、自らの主張を滔々と心理師に述べCLではなく自分のストレスの発散を企図する身近な相談員の所属する相談室、自らの存在を認められたいがために限られた時間の中で滔々と脈絡のない話を続ける無資格者が介入するケース会議、面接継続を希望しているCLの心理支援を妨げる似非支援者、CLと御本人と管理責任者の了解の下に心理師国家資格者のアセスメントの下に、CL支援が開始され直前に、一部の指導者が複数で不法介入し約束を無断で破棄させ放置する行為(刑234)、CLの気づきに導くCounselingの使用目的と異なる指導をするために使用許可を得ている心理師に対して事前及び事後の説明なく面接室の明け渡しを求める基本的ソーシャルスキルが欠落した一握りの指導者等々、CLの本当の期待や要求を実現するために、Counselingや心理療法による自己成長を妨げる要素は、枚挙にいとまがないことを心から憂う日々を省みている。





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