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第2回公認心理師試験結果に対するつぶやきへの率直な感想【再追記 合格発表後】 [心理]

第2回公認心理師試験結果について、様々な意見がつぶやかれている。

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 平成30年9月に開催された第1回公認心理師試験及び、1月に北海道で被災追試が行われたが、難しかったという感想が数多くあった。それに対して、第2回は更に難問だったと試験実施機関である心理研修センターや国の機関に問合せや意見が多数あることがSNS上でつぶやかれている。加えて、電話に出た担当者が第2回公認心理師試験の内容が難しかったという質問者各人の印象を踏まえ、問い合わせた質問者への意を汲み、第1回の合格基準である6割、138点を下方修正する方向で責任者に報告する旨の回答があった旨まことしやかに呟かれている方もおられ率直に驚いた。

 しかしながら国家試験の公正という観点からすると、先ずそれはあり得ないことであると率直に思う。第1回試験の受験生(合格者)は、主に臨床心理士有資格者が数多く含まれていたはずである。それに対し第2回の受験生の方は、必ずしもCP有資格者に限らず、その他の領域の方が多くおられると認識している。そもそも最難関のCP試験をクリアした方と、そうではない方と受験して難易度について受けた感想は異なるだろう。確かにテストバッテリーに関する問題や福祉や医学の専門知識を問われる問題等、難しい面があったとしても、それは、それぞれの受験生の担当領域による問題であるし、各回の試験問題の特性に基づくものであり、仮に心理臨床の有資格者からの下方修正の希望を含んだ問い合わせだからといって、それに対して個別に意を汲む対応をしたとなると、国家試験の公正への疑いが生まれてくることになる。受験生としては、合否の結果は生命を左右される位の意味をもつと認知されるかもしれない。しかし、安易に合格基準を下げることによって、心理臨床の基本姿勢を保つことが顕著に難しい自称Counselor、自称Therapist、相談員が数多く心理臨床の場に混在して、指揮を取り出す等、混乱を招くことを恐れるという見方もある。論述試験、口述試験がある臨床心理士試験同様、択一式試験のみで問われる公認心理師国家試験の合否も心理臨床の専門家としての資質を問うためのプロセスとして、更に厳格に運用されるのは、当然であり致し方ないことではないかとお察しする今日この頃である。

【追記】

もし上記の通り、合格基準点を容易に下方修正し、本来、心理師としての経験と技能要件を満たさない自称の方を有資格者と認定してしまうと、次の問題が蒸し返されてくる。即ち臨床心理士資格を取得し、臨床経験も豊富にあるが、開業登記や税務申告、また大学院の読み替えが得られなかった関係で、受験資格が得られなかった方との不公平さが顕在化されてくる。そもそも①受験資格の形式的な要件が満たされない場合、②実質的要件を満たしている方が、受験資格が得られない方もおられる。たった1科目だけで認定を受けられなかった方の話も時折耳にする。他方で③受験資格の形式的な要件が満たされているが、④心理臨床の専門家としての実質的要件を明らかに満たしていない方が、偶々、合格基準を下方修正することで、有資格者となると、上記①②の方とは著しく不公平になるばかりか、心理臨床の現場に、ひいてはクライエントの行動変容と自己成長による症状の緩和、改善に向けた効果が著しく減殺されてしまう等、大きな不利益な影響をもたらしてしまう。そうであるならば、何故あと1科目、受験資格要件の審査の段階で寛恕な判断を下し、国家試験会場での回答という公平な場面での受験の機会を認めなかったのか、③④で切実な思いを抱えて活動を続けておられる方にどのように説明するのだろうかと思う。受験資格段階では、形式的要件に加え、実質的な要件が重視されるが、心理臨床の現場では、CP資格があることを前提とすれば、読み替え云々がされた否かの形式的要件よりも実質的要件がクライエントから重要視される。何故ならCP資格を取得するプロセスで、観察、傾聴、確認、共感といった基本姿勢を背景に受容、共感、一致という傾聴の要素において、クライエントの認知行動に巻き込まれず揺るぎなき臨床姿勢の所在を理論面、そして実践面、倫理面を通じて保持していることが証明されているからである。そのプロセスを経ていない方に第1回の試験や被災追試試験よりも第2回試験の方が難しいから合格基準を下方修正して欲しいという希望は、あと1科目で受験資格を認められなかったCP(臨床心理士)の心情を踏まえた時、著しく的外れな主張であると率直に思う。

 尚、社会福祉士や精神保健福祉士等の他の国家試験での合格判定基準と比較して判断するべきという見解もあるが、公認心理師試験は、最難関の臨床心理士資格を有する人も受験せざるを得なくなった国家試験であり、また、人間の心の健康を実現するために必要なアセスメント、心理支援スキルの所在を求められる試験である。あくまでもクライエントの気づきと自己決定に基づく行動変容や自己成長による心の健康の回復、保持、増進という点に主眼がおかれるのであると解されることから、これは公認心理師としての適格性を判定する独自の判断であることが求められる。第1回試験では、事例問題の配点に工夫をして戴いたが、そもそも択一試験、論述試験に加えて口述試験をクリアして取得したCP資格との均衡上、できるだけ厳格に判断すべきであるという見解が成り立つのではないかと感じている。









【再追記】

令和元年 9月13日(金)第2回公認心理師試験合格結果が発表された。



自身が予想した通り、合格率46.1%、現任者41.8%と厳しい結果となった。受験した方が、第一回試験を受験し合格した臨床心理士以外の方が多く含まれていたのではないかと推察する。即ち、大学(院)で読み替えが可能な正規ルートを通って受験された方に加え、読み替えが難しかった現任者の方でも臨床心理士の有資格者の方が数多く合格者の中に含まれていたのではないかと推察する。その他、国家試験に習熟しているSSWの方で、臨床心理アセスメント技術やCounseling技術の習熟が難しくても、今回運良く現任者認定を受けた方は、特に福祉心理に関する問題が解き易かったかもしれない。従来の臨床心理士の業務を頑張ってこられた方に加え、今現在の社会のニーズに応える現任者の方で一定のレベルを超えた方が資格認定を受けたと推察している。厳しい判断基準をクリアされた方は、合格おめでとうございます。残念ながら今回クリアできなかった方は、現任者としての価値が否定された訳ではないということを再認識されると良いと思います。そして、少し心を休めてから2020年の国家試験を目指してくださいますよう。2020年は東京五輪がありますので日程は更に早まることが予想されます。

 最後に本つぶやきの回答の契機となったツイートをされた方に申し上げたい。試験の公正を揺るがしかねない大原則とかけ離れた発言は、数多くの仲間の期待を裏切る結果に導く危険があることとお察しします。今回の試験結果のように。本回答の呟きへは、既に2500件のアクセスを戴いています。大学教員はもとより、臨床心理士や公認心理師制度に関する公的立場の方もご覧戴いていると解されます。あなたのSNSでの呟きが今回の合格率の一層の厳格性を保つ契機となるよう心の防衛機制が働く引き金を引いてしまったのかも知れない。恐らくそうなのではないかと思います。

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