行動変容の科学 [心理]
行動変容という言葉が政治の中でも用いられてきている。これは、自身の大学院時代の教授が今から30年以上前に唱えていた言葉である。今ではあたかも当然そうあるべきという言葉のトーンで用いられている。いわば恐怖喚起の意味合いで用いられているようだ。しかし本来の意味は違う。
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この点、緊急事態宣言に加え、緊急事態措置として国民にお願いしているが、未だ変容が訪れないというのは、率直に致し方ない面も感じられる。それは未だにマスクが届かないことや、PCR検査や治療薬投与を積極的に行い封じ込めるといった作戦を取らず未だに言う自宅待機や経過観察の方針を行う中で8割接触減の策を打つために生業を投げ売りストップさせたり、健康で文化的な最低限度の運動習慣を妨げられる等、見通しが狭い対策を国がとられる中で、果たして行動変容を訴える相手方が信頼できるのかという境地に立っているからだと解するのが自然ではないかと思う。即ち国という相手方への信頼関係が成立してない中で、また動機付けが希薄な手段を用いて、国民一人一人の行動に共感することなくして行動変容など起こりえないというのが健康行動科学に基づくCounseling理論の結論である。
保健行動のシーソーモデルを前提にすると、動機付けが弱く、不安や恐怖心などの負担感情が専ら強ければ、クライエント本人に自己決定は起こらない。社会的な支援があったとしてもそれは、自ら支払った国税のほんの一部であり、また不公平な判断があれば、相互不信の中で、自ら望まれる行動変容に至るということは困難である。それを今の国民の行動に当てはめれば、名前を告知されるからマイナスになるといった恐怖心で自粛するという本来行動変容とは異なる目的の方策がとられていると解される。先ず国民に行動変容を期待するのであれば、国民の生命線となる医療を動かす政治や行政の中枢の方々から他人事ではなく、自ら行動変容されないと、国民は、自己決定では動かない。即ち行動変容は起こらないというのが自身が大学院で学んだ理論的に正しい考え方であることをお知らせしたい。国民一律十万円の給付は有難いけれども、その前に国の経費で多額の飲み食いをしたり、武器や弾薬を購入するための不必要な防衛力を美しい自然破壊を続ける中で増強したり、オゾン層の破壊を続ける結果となる工業生産を配慮なく持続することを容認したりする政治姿勢を改めないと、率直に信頼感を以て行動変容することができにくいことに加え、赤字国債を乱発し、気前良く国費を投入する中で、数年後、政治の責任者の方が交替された頃に、大増税があるであろうことを予想すると、末恐ろしくて行動変容するための心に至りにくいのではないかとお察しする今日この頃である。
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