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再決断療法を適用したクライエントへの解決の定着を妨げる要素 [心理]

認知行動療法はもとより、再決断療法を行う機会がある場合、クライエントが一回又は数回の心理面接で適応を見せることがある。そして適応の効果を定着させるためには、本稿でも何度も指摘している面接の構造化が必要である。しかしながら一度面接に訪れた後、再び症状が悪化するまでしばらく訪れないクライエントもいることは事実である。面接の構造化を妨げる要因を分析する必要がある。

TA Today&Tomorrow 私の治療哲学 幼時決断・禁止令と再決断

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交流分析にもとづくカウンセリング :再決断療法・人格適応論・感情処理法をとおして学ぶ

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自己実現への再決断―TA・ゲシュタルト療法入門

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クライエントが大人の場合、心理教育が重要な機会となるが、子供の場合、面接の構造化の妨げになるのは、自分と向き合う動機付けの継続である。特に子供が思春期の場合、定期的に自分を振り返る機会を持っている方がおられるが、その度に、自分と向き合う場面をCounselorと生み出すことによって自分を駆り立てる背後のもの(ドライバー)に気づいてそれをあたかも自動車の運転のように、ハンドルを切り替えるタイミングや切り替えのコツを知る必要がある。しかしながら大人はもとより子供も循環気質であったり、大人が楽観主義の心の声「全力で行け」に駆り立てられながら自分と向き合わない心の習慣が作られてしまうと、常に自分を駆り立てるドライバーに導かれて、アクセルを踏み続け、ブレーキを踏むことができなくなる心の習慣が積み重ねられることになる。

 すると、自らを駆り立てるものに気づかずにいつの間にか現実生活の中で不適応を来すことになる。子供が児童生徒の場合には、大人が不適応になる前に、心理面接に導く配慮が必要であるが、保護者を含めて駆り立てるものに気づくことができたり、担任教諭や身近な相談員が時に授業や部活動を調整しCounselingに行くように導くことが必要である。身近な相談員が心理師とクライエントとの間を媒介している場合に、保護者の特性を見極めずに煽てに乗ってしまう危険があるが身近な相談員は、御自分の特性に気づく必要がある。心理師との間を媒介する保護者への対応に間違いがあれば、大人はもとより子供は心理師の訪問日に相談室に訪れることが難しく、自らの心と向き合い続けることができない。

 いずれにせよ再決断の効果が定着する前にクライエントが自分一人で問題解決しようと悩んでしまう場合や保護者の不適切な対応を引き出す等により再来談の時期を過ぎてしまうと、negativeな認知行動パターンが強化されてしまい、感情認知困難や解離症状、自己否定感を伴って症状が固着していまい、解決方向に導くことが更に困難になる。スーパービジョンの場面でよく提起される内容であるが、例えば、数か月前、クライエントが改善傾向に導かれたのにもかかわらず、それが認知行動パターンとして定着する前に心理師の下に定期的に訪れなかったのか。そして保護者、相談員が導かなかったのか。何故症状がこじれた段階で心理師の元に訪れ、解決の責任を一方的にゆだねるのか。一回又は数回の対応で、「完全に治癒した」と錯誤に陥ったイラショナルビリーフが背景にあるのではなかろうか。ここで、「治らなかったのか」と疑問を呈する人もおられる。しかし、心理師が治癒するという言葉自体誤りではなかろうか。クライエントの治癒力をひきだすプロセスがCounselorの大切な仕事の一つではないだろうかと改めて省みる、今日この頃である。

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