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第72回 福岡国際マラソン

福岡国際マラソンが平和台陸上競技場発着で開催され、服部勇馬(トヨタ自動車・東洋大卒)が2時間7分27秒、全体のトップでゴール、日本人として14年ぶりの優勝を果たした。

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福岡国際と言えば、瀬古利彦選手と宗兄弟、中山竹道選手との闘い、瀬古利彦選手とイカンガ―選手(タンザニア)の残り100メートルで瀬古選手がスパートをかけ1位(2時間8分51秒)でゴールした 競合いが鮮明な記憶として残るが、日本のマラソン界でも歴史になだたる大会の一つだろう。昨年、現日本記録保持者の大迫傑選手(ナイキオレゴンプロジェクト)が、2時間7分台前半の記録を出し、今年2月の東京マラソンで出した設楽悠太選手の日本記録(2時間6分11秒)を超える切っ掛けとなった大会でもあった。

 今回は、ケニアの招待選手に加え、日本では、前日本記録保持者の設楽悠太選手(Honda)、ボストンマラソンを制した川内優希選手(埼玉県庁)、駒沢大学時代、全日本大学駅伝4連覇に貢献した窪田忍選手(トヨタ自動車)、青山学院大学時代3代目箱根・山の神として活躍しコニカミノルタを経て今年春プロランナーとなった神野大地選手他、箱根や全日本を湧かせたランナー達がひしめく注目の大会となった。

 その中でも今回4度目のマラソン、東洋大学で弟の服部弾馬選手と走り、箱根2区区間賞の記録を記録し、総合優勝を果たし、全日本大学駅伝でも優勝メンバーとなった服部勇馬選手(トヨタ自動車)が参加し、東京五輪代表選考となるMGCシリーズの切符を目指す上でも注目された。服部勇馬選手は、2時間10分台以内を目指しながらも、過去35キロ地点で失速し当時青学大の下田裕太選手に抜かれ日本人4位となるなど、期待されながらも、結果が出せず、その後も怪我と戦いながらこの歓喜の瞬間を待っていたのだと思われる。


 気温20.1度と冬の福岡国際の大会としては、最高気温の中でスタートし、先頭集団が、概ね1キロ3分ペースでレースを展開した。2時間5分台の記録を持つケニアの選手が4キロ地点で遅れはじめ、15.1キロ地点で、ロンドン五輪で6位入賞を果たした中本健太郎選手(安川電機)が先頭集団から遅れ始めた。その後、徐々に先頭集団が絞られ、概ね32キロ地点で設楽悠太選手が遅れ始めた。そして、海外勢2人と、服部勇馬選手が抜け出しトップ争いをしていたが、36.1キロの給水地点で2本の給水ボトルを首にかけスパートをかけた服部選手が自然と独走状態となり、37キロ以降の右に曲がるカーブ地点で、自らのペースを保ちながら平和台陸上競技場にトップで辿り着きゴール、日本人では14年ぶりとなる優勝を果たした。

 振り返ると4度目のマラソンの中で、過去3度で残り7キロ地点で突然失速してしまったが、今回は、35キロ過ぎた頃から、1キロ3分を切るペースに上がっていき、トップ争いをしていた海外招待選手も給水地点で振り落とされる結果となった。

 終わってみれば、2時間7分27秒。大迫選手が出した日本記録(2時間5分50秒)にまでは及ばなかったが、今回のレースでは、「35キロ地点で失速した」過去の教訓を生かしクリアしたこと、MGCの切符を瀬古プロジェクトリーダーから受け取ったこと、そして長らく遠ざかっていた日本の歴史あるマラソン大会で1位優勝となる日本人ランナーの誇りを取り戻したこと、そして、2年後の東京五輪のマラソン代表候補として名乗りを上げたことが、何よりも収穫だったのではないかと捉えている。

 今回報道したテレビ朝日のゲスト解説として、瀬古リーダーの隣に座っていたのは東洋大学陸上競技部の酒井俊幸監督だった。設楽悠太選手は、今回4位にとどまったが、2年後輩の服部勇馬選手が実業団での試練を超え、月桂冠を被る結果となったことは、何よりも嬉しく感無量だったのだと思う。今年の大学駅伝では、出雲、全日本と青山学院大学に大きく水を開けられているが、平成31年2日3日の箱根駅伝に向けて「その一秒を削り出し」ながらゴールに近づくための明るい兆しが見えてきたのではないかと感じた。今回の大会参加で、青学大出身の神野大地選手は、32キロ以降で腹痛を発症し、2時間11分42秒を超えてしまいワイルドカードでのMGC出場権を獲得できなかった。ドーハ世界陸上を目指し平成最後の市民ランナーとして福岡国際に参加した川内優希選手も2時間10分は超えたものの、最後まで諦めない見事な走りを貫いた。東京五輪に向けて、日本のマラソン界に再び明るい光が差し込めてきた。


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