ネゴシエーションスキル [心理]
組織の中で一部の担当者の誤解で対応が一向に変わらない時がある。アサーションスキルを用いて変化が見られない時は、ネゴシエーションスキルが必要になることがある。
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心理士(師)が派遣元から一定の派遣先に派遣されているケースがある。その場合、派遣元の一定の要請で心理面接のスケジュールが組まれる場合が時折ある。このように派遣元の要請で心理面接スケジュールを組む場合には、派遣先の管理職責任者の了解を得て勧めるが、関係する一部担当者の誤解により一向に当該スケジュールが進行しない場合がある。話を聴くと、coordinatorや当該担当責任者の中で心理面接の制度に関する誤解があって、思考の奥にはイラショナルビリーフが隠れている場合がある。特にcoordinatorや担当者が大変真面目な人である場合には、頑なにご自身の抱くビリーフにこだわってしまう場合がある。その関係者にスケジュールの柔軟な変更を打診するがしかし、変更には中々応じてくれないことがある。そのような場合、当初、交渉過程で、アサーションスキルを用いて対応するが、しかし、中々頑なに当初のビリーフを変更しようとしない人もおられる。交流分析でいうAの自我状態を働かせ、派遣元が作成した正文を再度示しネゴシエーションスキルを用いてさらに当該担当者の思考に迫る必要がある場合がある。
振り返ると先ず第一のコーディネーターに話を持ち掛けた際、当該コーディネーターが当該派遣先組織の実情からすると、現時点で面接のスケジュールを実践する見通しができないと答えることがある。しかしながら、当該コーディネーターの見立てに従っていては、一向に年度内のスケジュールが進行しない。そこで他の担当者を通じて次の改善策の提案をしながら実際に面接スケジュールを組み立てて行ってみる。そこで一定の成果がみられた時は、そのスケジュールに準じて、次のスケジュールを立てていく。コーディネータ―は、自分は良く分からないから担当責任者との二者関係の話し合いで進めて下さいと依頼を受けることがある。その助言を頼りに交渉を進め無事スケジュールをこなすことができた。しかしながら未だ面接のスケジュールを組まなければならないクライエントの方は数多くいる場合、更に次のスケジューリングの段階に導く必要がある。
その時、コーディネーターの方は心理士(師)に任せていた担当責任者とのスケジューリングを今度は、担当責任者との二者関係で進めてしまうことがある。その時、社内で合意を得るために作成した文書のニュアンスには、派遣元の要請する心理面接の趣旨が正確には伝わらない誤内容となっていて、当の心理士(師)には開示されず、一方的に組織内の合意過程が進んでいたことが判明することがある。年度内の担当責任者は、当該coordinatorが作成した誤文書をもとに趣旨を誤解してしまい、本来許されていた時間を除いて面接スケジュールを組んでしまった。一度組んだスケジュールは変更しがたく、交渉をしても中々変更が難しい。しかしながら翻って考えると、当初、コーディネーターが作成した文書が派遣元の作成した制度への誤解があって、その制度に関する誤解がイラショナルビリーフとなっている場合、その根元の思考にある間違った文書に基づき形成された信念を指摘する必要がある。とはいえ、いきなり指摘してしまうと、自分の思考は常に正しいと誤解しているcoordinatorや担当責任者の自己防衛を深めてしまう。そこで、段階を踏んで心理的防衛を強めていかない配慮が必要となる。組織の内部でのコミュニケーション過程は複雑なものである。しかしながら、その中で心理職との間を保つ①中間管理職がコミュニケーション過程に介入していない、②当初責任者との二者関係で遂行してくださいと情報提供したコーディネーターがある時、意を覆して、心理士(師)を介さずに誤った内容に基づき合意してしまった。③そのことを心理士(師)に伝達し本来の正しい制度内容を確認していない、④担当責任者がcoordinatorが作成した誤文書に基づきスケジューリングをした後、その考え方を見直す心理的余裕がない、⑤コーディネーターの組織運営に対する位置づけと責任担当者の制度に遡り正しい制度を確認する柔軟性が欠けた頑ななpersonalityが起因していることが分かる。しかしながら、一番肝心なことは、派遣元の要請に基づいて行う担当心理士(師)と派遣元の定めた「制度」自体を、coordinatorが作成した誤文書に基づき、手続を運用して事実上本来の制度を作り変えていると解さざるを得ない場合がある。
このようなことが様々な経験を持った心理士(師)が体験する内容である場合がある。他のクライエントへの対応含め考えると、労務管理にも関わってくる。それゆえ、当該コーディネーターの誤理解や一部責任者の頑なな姿勢に基づくスケジュールに従っていては、いつまでも終了の見通しが立たなくなる。このようなケースは、本来の制度趣旨が示された文書の提示をもってあきらめずに粘り強く、ネゴシエーションスキルを用いて様々な観点から組織の意思決定過程を変容に導く働きかけが必要となってくる。もっともコーディネーターから本音を伺うと、当該責任者の方は、一度決めた内容は、変えようとせず明らかに柔軟性に欠ける。そこで、これ以上、話し合いの場を持つことはやめたいという隠れた意思があることに加え、心理士(師)であれば、その事情は理解してくれるだろうという期待と甘えの心理が隠れていることが推察される。しかしながら派遣元の要請に従い、担当心理士(師)としての責務を全うすることで、迅速かつ確実に多くのクライエントの要請に応えることが可能になることを踏まえると、本来の原則を曲げてはいけないと省みる。再度、その原則論を踏まえて、年度当初交付された辞令に基づき本来のあるべきスケジュールを再度提案していく必要がある。確かにどのような組織であっても一度決めた内容を覆すことは難しい。しかし本来の正文からすると柔軟性を発揮するべき内容であることを振り返る必要がある。ましてや派遣元の作成した正文を確認しない時点で内容をcoordinatorが内容を作り変えてしまうことは本来のクライエント保護に欠けることになる恐れがあると解される。
仮に心理士(師)が助言者として助言したことを組織が遂行しない場合、危急的な事態に陥る危険があることを踏まえて幾度となく角度を変えながら粘り強く伝えるよう、かつて自身のスーパービジョンで学習した心理士(師)の基本姿勢を若い心理士(師)に伝達するようになってきた日々を過ごす自己を若い心理士(師)との間で行われるケースカンファレンスの中で時折省みている今日この頃である。
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