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自招危難的症例への臨床心理支援 [心理]

心理士(師)とケースカンファレンスを行うと、未だに若い心理士(師)からの訴えがあるのは、担当クライエントへの関係者の自招危難的症例に対してフォローを求められる訴えである。率直に初期対応した関係者の過失、重過失に基づく失敗への尻拭いであるが、例えば、スクールの場合、直接の担当者(教師)がその事情を伝えずに、心理士(師)に丸投げしてくる事情が相変わらずあるという困った事案への対応である。





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心理士(師)資格を取得し、心理士(師)として働き始めた頃、よく見られるのが組織の直接の担当者から依頼されるケースの初期対応を誤ったため症状が悪化してしまった場面がしばし聞かれる。スクールであれば担任、家庭であれば保護者、会社であれば、上司といったように、クライエントを見守るべき人の対応が拙劣であったために心の傷を生み、それを深めてしまい、その結果、対応困難の状態が生み出されてしまうことである。ケースの状態がこじらせた後にリファーされてくるために、改善方向に導くことが難しくなる。しかし元を辿れば、初期対応を間違ったためであり、また観察、傾聴、確認、共感の基本姿勢が欠けているためにクライエント本人の感情に寄り添えず、初歩的なミスを侵してしまうのである。例えば、発達障害の特性や〇〇障害の診断基準に該当する子供がようやく外から出た時に、担任教師が本人と関係作りができていない段階で、ご本人にとっては難しい筆記課題を指示したりしたことを契機に認知的不適応を起こし自分の家に引きこもることになるケースがカンファレンスでも話し合われることがしばしあった。しかし周囲が子供の特性に関する理解が十分にされない段階で、自分の常識を子供に押し付けてしまうことで生じてきた言わば自招危難的な症状である。

 そして困ったことは、自招危難的な症状を生み出す原因を生み出した当の本人が、十分に事情を心理士(師)に伝えず、組織のシステムを使って予約を入れたりするケースが非常に困ったケースに数えられる。即ち、自招危難的な不適応症状を生み出した当の本人が原因を生み出した実情を知っているはずであるにも関わらず、その実情を秘匿して、ご自分の話しやすい組織内の存在に伝え、一方的なシステムの流れを活用して、心理士(師)の担当とさせ、もはや患者となったクライエントのフォローをさせる行為を省みてストップさせなければ、同様の被害が繰り返されることになる。後々クライエントやその保護者から話しを聴くことができる時、必ずと言っていいほど、担任、上司、保護者等、当初の担当者の初期対応が明らかに、観察、傾聴、確認、共感の基本姿勢の観点から適切ではなかったことが判明することが殆どである。その事情を知っている担当者がコミュニケーションを通じて明らかに適切ではない対応を行った事実を秘匿しつつ、組織のルートを活用して、結果的に心理士(師)にご自分の過失や重過失のフォローをさせようとするという者が後を絶たないということである。

 ケースカンファレンスの中で、共通して心理士(師)が訴えてくることは、関係者の中で情報を集めると、自ら侵した重過失による結果を消し去ろうとするために、時に報告書で上書きや上塗りをするような行為をする。その際に初期対応で致命的な重過失を起こした事実を秘匿していることであったりする。その尻拭いを、心理士(師)にさせるのである。このような営みが組織の中で繰り返されていては、心理士(師)がいかに優秀であるからと言って、自招危難的に発生した症例は無くならない。時に専門医から服薬指導を受けたとしても、複雑な心理療法が必要になる程の症例を目の前にした時、若い心理士(師)に対して、先ず、いかなる経緯から自招危難的な症例が生み出されたのか、過失によるものか重過失か、それとも故意によるものなのか、現状を先ずアセスメントするように助言している。それを行わないと初期対応をした者の過失の程度が不明確になるし、いつまでたっても子供に寄り添えない組織の病理が繰り返されるからである。そしてその責任を心理士(師)が負担することになることを防ぐ必要があるからである。

 心理士(師)に対して自分の担当の子供や保護者、部下をリファーしているにも関わらず、実情を伝えず、報告書を回すだけで暗に対応を求めてくる、酷いケースでは、心理士(師)と目も合わせたことがない事実上の依頼者も存在する。そのような依頼者に対しては、直接の連携をあえて求めていないわけであるから、中継者となる立場の方に状況を口頭で簡潔に伝えるように助言している。そうしないと、組織の中で、自らの(重)過失を振り返ろうとしない傾向性はもとより、面倒なことは、心理士(師)に丸投げするという過度な依存性が作られて改善されなくなるからである。以上のような対応法は、視点を変えると、過度な依存性を助長する組織の傾向性から脱却させるために組織の自律性を見守る対応と言えるのではないかと振り返るのである。


 尚、既に医療機関の中で構造化された心理面接が進行しているケースに、医療連携せず、途中から自らの判断で保護者やクライエントに直接介入し患者であるクライエントの認知を更に歪めてしまったり、クライエントから電話相談があることを認知しながら、延々と他の電話対応を止めない無資格相談員の行動や、自ら電話をとったにも関わらず心理的負担感を理由に組織内連携の内線連絡対応を拒む組織の一部担当者の対応は、クライエントの組織的サポートという観点からすると悉く論外の対応であること、心理士(師)の助言を傾聴できない方は、先ず2つの資格を取得してから心理士(師)として自らの判断でクライエント対応することが可能となる現実について若い心理士(師)にお伝えする今日この頃である。

 特に様々な経験を携えた身近な相談員は、随時ケースに応じた対応をされるが、専ら自らの判断で介入できると判断した場面に限り、一歩専門的な自己成長や行動変容の領域に関係すると、対応困難となり、基本的な部分でミスを侵す傾向がある。困難と認知するケースは、先ず、心理士(師)に対応を委ね、直接の担当者との連携を行うが、一度本人と繋がると、心理士(師)の枠を壊して介入する行動傾向がある。得意の会話術でクライエントとのラポールを築けたと誤信して、クライエントの卑しを提供する場面に託けて、心理士(師)が当初イメージした自己成長や行動変容のステップを妨げてしまう。理論的な理解が不十分のまま保護者の思考にも巧みな会話術を用いて入り込む。そのため直接のクライエントへの働きかけの際、微調整が困難なため心理士(師)がせっかくつないだクライエント本人の心理的防衛を強化してしまう。このようなプロセスの介入があることが予想されるために医療機関での主治医の指示を必要とした規定が公認心理師法に盛り込まれたのだと思う。このような無資格者の似非的な心理介入による心理(師)の心理面接の枠組みを崩す介入はクライエント支援の観点から危険極まりない営みである。今後公認心理師試験が臨床心理士と同等に評価されるためには、上記の対応者を見極めるために口述試験を設けることが不可欠となると解される。




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