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内観法の効果 [心理]

日本の心理療法に内観療法がある。

これまでの臨床経験の中で、対応困難と感じたケースを振り返った時、アプローチに根本的な視座の転換が必要と見直す機会があった。特に、精神疾患を発症し長らく治療と向き合っておられるCL、学校臨床で不登校傾向が進み引きこもり、ご家族の対応を求め、当然と思っているCL、スクールの対応について一つ一つ過度な要求を突き付けてくる保護者CL等、共通することは、個々の要求水準が肥大していることである。相談室登校の生徒がクラスメイトから給食をもってきてもらう時、あたかも当然のように振る舞い、自分で受け取ろうとしないCLもおられる。勿論そこに至る経緯はあると思われるが、ネット依存に興じて昼夜逆転し引きこもるCL同様、家庭の中でも、スクールの中でも、様々な経緯の中で各々の要求水準が肥大してしまいバランスを欠いたまま放置されているケースが多くあられる。

 この数週間、主に文献を中心に自らの臨床活動を振り返っているが、臨床アプローチの中で視座の転換が必要と感じるようになった。とある現場でもリラグゼーション法に加え、内観法を取り入れたアプローチを導入することで、比較的短時間に顕著な効果を得ることが増えてきた。そこで、心理教育の段階から取り入れる必要を感じ実践している。内観法、内観療法の効果は、世代間伝達される気質と各々の生育歴の中でいつの間にか肥大化した要求水準を適正なレベルに戻す働きがあるととられている。


 もっとも今後大切なことは、効果が顕れる機序について、認知行動療法をはじめ他の心理療法と比較しながら治療機序を実証していくことである。加えて本来自己とともに他者イメージも難しい発達障害を持たれる方にも施行し効果が得られているが、どの程度、法則化できるか、導入するうえでの教示に鍵があるととらえている。それに加え、CLとのラポール(信頼関係)形成というベーシックなレベルでの技法の細かい配慮が必要である。


 自宅研究室の書籍を探した所、吉本伊信先生の内観法(春秋社)の他、現代のエスプリ470 内観療法の現在(至文堂)が出てきた。加えて、図書館の閉架から現代のエスプリ202 瞑想の精神療法―内観療法の理論と実践(至文堂)をお借りし熟読吟味した。今ネットでも古い文献が入手することが難しいことも多いが、古い文献の中に真理の泉が隠れていることを顧みると本当に感謝の気持ちが湧き出てくる。金木犀がほのかに香る秋の良き日に、これまでの諸技法をケースに寄り添う中で程よく統合して活用するさじ加減が求められていると感じ、先人の教えと目の前のCL環境に感謝を抱きながら日々を過ごしている。



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