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公認心理師法 42条2項 主治医の指示 [心理]

公認心理師法42条に主治医の指示に関する規定がある。法案の段階で、当初から予想されていた問題に施行日直後、直面した。

〈追記〉 
 担任教諭が自らのクラスの生徒をADHDだと思うと、診断を求めて、身近な相談員に全て対応を依頼している場面に遭遇した。診断はDrにとの助言を意に介さず、全て相談員にお任せしてよいですよねと法に抵触する行為への同意を求められ、唖然となり絶句した。このような若年中堅女子教諭が極めて稀に存在する現在、公認心理師法42条2項の立法趣旨の存在意義があり、適用されると振り返った。しかし公認心理師の有資格者でなければこの規定は適用されない。一部のスクールではSCの目の届かない所でこのような行為が平然と行われていることが稀にあるが、生徒の心を守るためにも、教職員研修を徹底する必要があるという見方が生まれる。
公認心理師法 第42条1項では、連携に関する内容を規定し、2項では、主治医の指示を受けることを義務付ける規定がある。学校臨床の場では、クライエントである児童生徒を医療機関に紹介したり、また、既に受診している生徒や保護者の依頼により、心理面接を行うことがある。そのためにスクールカウンセラーが存在することは周知の事実である。しかしながら、医療につながっていても、不安定な状態が継続するケースもある。特に学校での状況を医療機関に伝えることが必要なケースも多くそのために医療と心理職との連携が必要になる。医療機関においては、予め保護者の了解を得られていることを前提に、主治医から連絡を頂いたり、こちらから問い合わせたりする機会が時折、幾度となくあった。しかしながら、医療機関によっては、患者との診療における守秘義務に重きを置き、いくらSCと言えど、仮に保護者の依頼を受けているとしても、電話連携はとらないと言われるケースもある。中には、生徒保護者の診察日に同行してほしいと求められ正直困ってしまった。

 特に隔週で訪れるスクールの場合、また定期的に毎週訪れたとしても、生徒保護者の診療日は、特定の日であり、必ずしも当該訪問校の勤務日とは言えない。その日に病院を訪問して下さいと言われても、他の指揮監督に服する曜日であったり、仮に同日であっても、他の児童生徒への対応を行うために、特定の生徒のため、主治医に説明するために医療機関に同行することは現実的ではない。ゆえに主治医の指示の規定は、心理師の勤務時間内に電話連絡を通じて行えることが望ましい。特に心理職は、非常勤職が多く、特定の曜日に勤務する契約の形が通常である。当該曜日の限られた時間に、当該組織の長の指揮監督が及んでいる。それゆえ本来の勤務日以外の勤務日に生徒保護者の受診日に同行してほしいと主治医のいる医療機関から求められても、管理職の監督が及ばない曜日にお伺いすることは難しい現実がある。

 熟考の末、原則に戻り、スクール内での保護者の面接を通じて、医療機関における主治医の指示を聞くことにする流れとなったが、しかしながら、公認心理師法42条2項が、主治医のもとに患者とともに出向くということを求められるのであれば、それは、心理師としての契約上無理を強いる内容である要素を内包していると言わざるを得ない。指示というものは直接であることが望ましいが、間接的な指示であることも可能と解釈する必要がある。各医療機関は、心理師が児童生徒の件で問い合わせた際、保護者の了解の確認を踏まえてできるだけ電話での対応して頂けると幸いである。それが難しければ、42条2項の規定は、実効性に乏しい内容となってしまうことを危惧している。そもそも法は不可能を強いるものではないし、その事実上不可能な行為を義務付けることで罰則が適用することはできないからである。

 もっともスクールに在籍する心理師が、児童生徒の状態をその都度医療機関に問い合わせなくとも、主治医の正確な診断とアセスメント、薬物投与を含む時機を得た迅速なご対応により速やかに治癒に導いて頂くことが可能になると、依然、不安定な児童生徒の状態を念頭にその都度医療機関に問い合わせる必要は著しく減少する。患者の中には、平素、感情のコントロールが顕著に難しく、保護者の支援も受けられず、しばし、教職員や生徒を含む周囲を振り回している生徒も存在する。連携が取れない医療機関の主治医は月1回10分の診察の中では状況を正しく認識することは難しいのが通常で、連携が取れれば、上記の問題は生じてこないことは当然の理である。当該生徒保護者の近くで対応し、逆転移に気づかない身近な相談員はもとより、教職員も夜間、当該生徒と保護者を心配すること少なく熟睡できる機会が確実に増えると推察する。この度、電話連携を拒まれた同大学病院の医師の御対応に向けられた生徒保護者の怒りをかつて幾度となくカウンセリングの中で傾聴しながら成長し無事終結したケースの記憶が改めて想起された。



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