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複数の教職員に伝達する必要と限度 [学習]

子どもの臨床心理アセスメント―子ども・家族・学校支援のために

子どもの臨床心理アセスメント―子ども・家族・学校支援のために

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2010/09
  • メディア: 単行本



要支援生徒の保護者面接や本人対応等した後、対応法を管理職に加え、複数の教職員に伝えるよう心掛けているが一方的に伝えることを待っている担任、教職員の姿勢には、双方向性なき依存傾向パターンを助長する危険があり要注意である。又、SCの不在時、相談員を通じて情報提供する場合、速やかにかつ正確に伝達している場合と著しく困難な場合がある。無駄話が加わり簡潔な説明ができない等、処理速度の違いにもよるが、アセスメントに関する言語理解が困難である場合も多い。

登校支援を要する生徒は、時に、学力や対人関係、発達、時に家庭環境の事情から、クラスに入れず引きこもることがある。特に思春期の時期は自分自身とは何か、周囲からどのようにみられているかといった諸々の事情に思い悩み、心の葛藤が身体症状にも表れるため、登校が難しくなることがある。そこで、相談室の相談員をはじめ、SCが保護者、児童生徒に働きかけ、先ず、別室や相談室を通じて心理面接の場を作り、相談の場を確保する中で、登校を確実にしていく努力をしている。その中で、担任教諭の働きが鍵を握るが、相談室との連携を常に意識している教師と相談室に子どもを預けてしまえば、もう、声をかけてこない教師もおられる。SCは、チームとして教育相談を行っているため、できるだけ上記の通り、保護者、本人との相談結果を複数の教職員に伝えている。本来、管理職に伝えれば、それがうまく伝わっていく組織や、教育相談部会に参加し、発言の機会を十分保証される中で、各学年主任から、担任に伝わるケースもある。通常、ご自分の担当の生徒のことであれば、当然、積極的に相談室に足を運び、事情を聴き、助言を受け、自ら児童生徒に働きかけるということが通常の教育相談体制のあるべき姿である。

 しかしながら、SCの勤務日に合わせて、部会がもたれるとは限らず、仮に持たれたとしても発言の機会を尊重しない組織も稀にあられる。他方、少なくとも、面接や観察の報告は、行うべきであり、ゆえに、時間が合う管理職はじめ、教育相談担当、特別支援コーディネーターに生徒、保護者の現状を伝え、対応を助言している。他方で、ご自分の仕事の対応が難しい様子で聴く耳を常にお持ちにならない方も稀におられる。

 その中でできるだけ複数の教職員に状況を伝えるように心がけているが、他方で、勤務日や原則的な勤務時間に合わない時は、それも困難である。ゆえに、管理職はじめ核となる教職員につたえることで良しとしている。稀に、勤務時間を若年者の担任に合わせてほしいという無理難題を求められることがあるが、先ず、ご自分の生徒が別室や相談室に登校している時間は、せめてご自分の足を運び、生徒との接点を持ってほしいと思うのが自然な考えで出てくる。その努力もせずに、保護者対応の必要性を伝えているにも関わらず、加えて、対応の方向性を半年前から助言しているにも関わらず、対応が変わらないケースがあり、その時は、SC自ら勤務時間を変えて直接伝えてほしいと言われてもそれは過度な依存傾向をますばかりである。

 登校支援が必要な生徒に関しては、担任自ら、先ず、生徒と生徒の保護者と連絡を取り、渡していないプリントを渡し、相談室に任せきりにせず、隔週で訪れるSCとの時間が合わないというお立場を貫くのであれば、管理職はじめ核になる教職員を通じて直近の要支援生徒の状況を把握し、登校支援となる適切な対応を行う必要がある。何人もの教師に伝える前に支援を必要とする生徒保護者の面接をすることが肝心である。SCの勤務時間を変えようとする前に、要支援生徒の心に寄り添うことを各担任、学年教諭は務める必要がある。

尚、児童生徒の状況や主訴を十分にとらえず、またその主訴を伝えず、いきなり心理検査の必要を訴えてくる教職員がおられる。時に他勤務での面接中に携帯に個人連絡で問合せの対応を迫られることがある。もしかしたら生徒の生命に関わることを誤信し、面接を中断して携帯連絡を取ることを迫られることが時折あるが、主訴も伝えない中での検査の依頼である場合があり、その場合は、即断を避け、急を要する場合には、最寄りの相談機関や医療機関に問わ合わせすることが適切と伝えざるを得ないこともある。大切なことは、個人の携帯への緊急連絡は学校及び相談室の電話から受信し、生命に関わることではない主訴に関する問い合わせは、SCの勤務日の原則的勤務時間に合わせて問い合わせて戴くことが適切である。他勤務日に問い合わせがあり、誠実に対応しても、勤務日に発言の機会が故意に保証されなかったり、SCとして伝えた助言が事実上反故にされたりすることがあると、益々、時間を厳守して頂く必要がある。勿論、教育相談体制を強固にしようと心がけておられるスクールでは、充実した時間を過ごさせていただき感謝している。

 尚、複数の教職員に伝えなければいけない事情は、身近な相談員にも当てはまる。比較的長い時間をかけて生徒のアセスメントと対応について、基本的な視点からかみ砕いて伝えたにも関わらず、管理職はじめ他の教職員に伝えて下さいと言われることがある。精神保健の専門家も同席しているにも関わらず上記の態度を示したケースもある。今省みると、心の理論を踏まえ、相談員の脳の中にアセスメントに関する基本的な知識が存在せず、かみ砕いて伝えたとしても、ご自分の中で同化して理解することができないからと解されるのである。長い時間をかけて複数の相談員や教職員に伝えても再度、教職員に伝える時間が必要であるのは、迂路であり、情報共有することに関する意味が希薄になる。資格がなくとも、最低限、共通言語を身に着けて欲しい。見立てをする術がないまま、CPの言葉を代弁して教育相談部会に参加している方もおられる。直近の事実を確認しようと求めるが、参加した会議の要支援生徒の基本情報も把握することが難しい相談員もいて、教員と連携を取ることも難しい。加えて、登校途中の生徒が学校から逃避したと不確実情報を伝えたり保護者、生徒面接に途中で事前の同意なく加わり、核心部分の気づきに近づいた所で、カウンセリングプロセスを台無しにする発言をする相談員がいて、焦点を戻すためにまた時間が必要となる。このような介入は、心理面接を説明や自己開示と誤解されていることから生ずる。かかる専門的知識から逸脱した介入は自粛して頂く必要がある。加えて教職員が不登校生徒のBPD特性を踏まえず対応しSCに事後的な対応を求める時にだけ微笑を見せる御姿勢は事故の事前予防の観点から控えた方が安全である。

 尚、飲食を伴う私的な会合に参加しなければ、必要な情報収集が困難になり、共同で営む講義を一方的意思表示で放棄したり、突然履物使用を制限したり、CLを紹介しないという考えの方が稀におられる。生徒に向けて同様の姿勢が顕れてしまうゆえに、速やかに変容すべき組織の課題である。もっとも、児童生徒の心を守るためにSCが活動しやすい条件を整えることが必要と省みる。


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