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公認心理師法案 42条2項 「主治の医師の指示」の規定 [心理]

 公認心理士法案第42条第2項には、主治医の「指示」の下に業務を行わなければいけない旨規定する。当然の規定とも思えるが、実は、個別具体的にケースを想定する必要がある。

(連携等)

第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18601043.htm

http://www.jagpcp.jp/tottori20140627.PDF

http://www.jagpcp.jp/nara20140705.pdf

http://www.jagpcp.jp/kagawa20140715.pdf

http://satheal.blog.so-net.ne.jp/2014-07-26-1

①医療機関内と医療機関外と分けて考える必要がある。医療機関内は当該医療機関の医師の指示を受けることは当然と解される。尚、精神保健福祉士の「指導」という文言と若干バランスを失しているように思われる。

 問題は、スクールカウンセリングや学生相談等、医療機関の外部の心理師が担当しているケースである。加えて、資格認定協会が危惧しているように、開業臨床の心理師は、著しく影響を受けると思われる。主治の医師とは、児童精神科や、心療内科医等、専門医であることが原則と解されるが、専門医でない医師の場合も適用されるか。勿論身体疾患の場合、医師の判断が優先されるし、自身が担当した場合には、直接医師の助言をうかがいたい場合もある。しかしながら、それを義務付けると、先ず、①児童・生徒・保護者の事前の了解が必要であり、それが得られない場合がある。特に医師との信頼関係が崩れかけている場合、問い合わせてほしくないという希望を伝え聴くことがある。仮に承諾が得られても、一件一件のケースについて、異なる医療機関や担当医の確認が必要となるため、特に勤務日が異なる場合には、当該勤務日に確認をとることができない。他勤務日に問い合わせる必要が出てくる。毎日、異なる勤務地に赴いている場合には、学校長や当該施設長の了解を得る必要があることに加え、医師の勤務の都合に合わせて、治療行為が終了した後、確認を行う必要が出てくる。それは、互いのスケジュールを大きく影響をもたらすものであり、事実上、困難な事例も出てくる。時に休日対応や、深夜対応等も必要となり、雇用上の配慮も必要になってくる。医師の指示を受けることが必要となると、医療機関でも、一日50人訪問する医師のスケジュールに穴をあけて、心理師に折り返し連絡することが義務付けられてくる。それを怠ると、義務違反となることになる。罰則規定はなくとも、仮に訴訟の場面では、注意義務違反と認定されることが予想される。このように心理臨床現場では大きな影響をもたらされることが予想される。

2)主治医が、専門医でない場合、心理臨床の診断が困難な場合が出てくる。専門医である場合でも、よほど、当該患者の病態、生育歴、性格特性や、行動傾向を知らない限り、本人に応じた診断を下すことは難しいと聴いている。加えて、心理師の担当するクライエントが、主治医との信頼関係が揺らいでいる場合があり、訪問したことを秘匿してほしいというケースも現実に存在する。特に発達の特性を御持ちのクライエント、児童・生徒、その保護者は、医師の診断を受け入れられず、関係が崩れてしまったケースを時折体験する。その折、スクールカウンセラーとして、フォローするよう努めるが、他の医療機関を紹介してほしいと言われることもある。できるだけ、主治医との関係を保つように導くが、それでも、難しい場合が例年、複数例ある。幸い医師から携帯に連絡を戴くこともあり感謝しているが、他方で、何故連絡をしなかったのかと御叱りを受けたことも一度だけある。しかしながら、当該クライエントは、保護者とともに、既に他の医師を模索していたのであり、カウンセリング上の信頼関係保持のためにも、連絡はできなかった記憶がある。何故なら治療契約の主体は、当該クライエントと医療機関だからであり、医療機関外のカウンセラーは、クライエントの同意なしには、その中に入り込むことが構造上難しいからである。尚、自傷、他害の現実的危険性が差し迫っている場合には、集団的守秘の下に例外的に連絡をせざるをえない場合もあると思う。

3)次に問題なのは、医療機関外の心理師が用いる臨床心理技法を主治医が必ずしも理解されていない場合である。[財]資格認定協会や他カウンセリング機関は、創設後20年を経ている歴史と実績があるため、中には、経験のある心理師は、医師の理解を超えた次元で、技法介入し、治癒に導く場合がある。それは、自身が研修時代、幾度となく体験した事実である。中には、医師から見放された患者が、たった数回のカウンセリング・心理療法で、蘇ったケースを幾度となく目にしてきた。それは、医師の指示を超える行為でありもはや心理師の枠組を超えた臨床心理行為なのかもしれない。相談室で、訪問するカウンセラーに任せれば、ほぼ間違いなく、建設的な変容に導くことができるという方もおられる。現に幾度となく、訪問し、スーパービジョンを受けてきた。(訪れた一部の方は、他学部卒のため、公認心理師の原則規定では、心理師の試験を受験することは難しくなるという重大な問題が隠れている)。そのようなベテランの神がかり的な臨床心理行為を行うカウンセラーは、医師の理解の範疇を超えているために、リファーすることも難しくなるし、技法自体、行動科学的に根拠があり、研究しつくされ、実践されてきた技法であるにも関わらず、心理師が義務付けられた医師の指示ができない臨床心理行為として、適用できなくなるのである。通常このような場合、言わば、「おまかせ」として医師からオーダーされるケースも聞いたことがあるが、それは、本来「指示」とは言えないという問題が生ずる。

さて、医師の指示について、このように様々なイレギュラーな事例が想定される中で、それを踏まえて、立法化するか、ぜひとも、審議を尽くして戴きたいと僭越ながら思う。某政党に所属する知人を通じて問い合わせて戴いた所、「否定する理由がない」という答えが帰ってきたが、受験資格の問題においても、医師の指示に関する規定についても、これまで心理臨床の現場で、臨床心理士やカウンセラーが、苦悩の中で、クライエントの主訴の解決に導き寄り添ってきた歴史を、審議不十分で、根底から覆され、心理臨床家としての生存利益を奪われ現場が混乱に陥ることだけは、避けて戴きたく切に願います。7月12日の説明集会で、説明された議員様各位は、法案が通っても、今までと変わらないことを強調されていましたが、上記の問題をはじめ、あらゆるケースを想定して、解決指針を見出されたうえで、審議入りしようとされているのか、この機会に改めて御伺いするものであります。

http://www.jagpcp.jp/tottori20140627.PDF

http://www.jagpcp.jp/kagawa20140715.pdf

http://www.jagpcp.jp/nara20140705.pdf

http://satheal.blog.so-net.ne.jp/2014-07-26-1

以上、米国大学(院)で公認心理師(法案)の受験資格を取得された御子息の御幸福を祈る議員先生と諸先生にも陳情申し上げます。

http://yamashita-takashi.jp/profile.php

http://www.furuya-noriko.com/

https://www.kamoshita.gr.jp/

http://www.tspark.net/


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