SSブログ

心的外傷後成長(PTG:PosttraumaticGrowth) [心理・健康]

心的外傷後成長ハンドブック: 耐え難い体験が人の心にもたらすもの

心的外傷後成長ハンドブック: 耐え難い体験が人の心にもたらすもの

  • 作者: 宅 香菜子
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2014/01/14
  • メディア: 単行本
人は、心的外傷体験を通じて成長する回復力(レジリエンス)を持っている。

人は、耐えがたき体験をすると心の傷が残り、心理的ダメージを受ける。他方で、心の傷を超えて一層の成長を遂げる回復力も潜在的に持っている。但し、心理的ダメージを受けた時の回復の仕方を間違えると、ダメージは、後に残り時に、回復を遅らせる危険をはらんでいる。ダメージから立ち直るためには、カウンセリングや心理療法等、心理学に根差す理論が重要であるが、ストレス行動科学や医学、脳科学等、関連する諸科学の知識を理解し応用することが必要になる。心の欲求[期待]がかなわないと、自己肯定感や自己有能感、セルフイメージが低下し、思い通りにならないストレスが、他者に向けらける。別項で触れた地域の中での諸突、連日のように報道される犯罪の背景には、個人のストレスマネジメントの不全状態が根幹にある。地域の中でも夫々の思い込みが生じ、様々な不適応行動がみられるが、根元のセルフイメージ・認知行動の変容に導くことが肝要であり、無力感から立ち直る必要がある。そのためにも、セルフイメージを低下させる認知をもたらす、心的外傷記憶を癒すなかで、変容させ、根元の認知、時に中核信念を捉え直す必要がある。

心的外傷記憶を緩和するためには、暴露法やEMDR等、様々な方法があるが、時が経過しないとその本人の、ペースでの改善は難しいケースもある。学童期や思春期にいじめを受けた体験や、肉親から見捨てられる体験をした経験、被災体験など心的外傷は、様々な要因がある。臨床心理技法、ソーシャルサポート等、様々な領域での知見を統合することが必要である。カウンセリングや心理療法の場面において、漸近的弛緩法に加え、呼吸法があるが、これは、身体を含む行動科学の知見にも基づき生み出された技法であり、それを心理学や東洋の瞑想法に溶け込ませ、マインドフルネスストレス低減法、新世代の認知行動療法と称されている。このようにカウンセリング場面で、応用される技法は、様々な起源がある。体育科学では、防衛体力と表現され、病気を未然に予防する免疫力の強化と結びついている。心身相関の立場からすると、人間の心と身体の健康を取り巻く、諸科学は、密接に繋がりあっている。

 心的外傷後のメンタルヘルスについては、カウンセリングや心理療法を受けるか受けないか、医療を受診するか、医師の指示があるか否かは置き、何らかの道のりを経ることにより、心的外傷後成長として、自己肯定感、自己有能感、セルフイメージが変化し、無力感にさいなまれていた日々から再び立ち直ることができるプロセスがあるのだと思う。それは、心に傷を負った人間が健康で文化的な最低限度の生活(憲25)を営むため、全ての人に平等に認められた権利(憲14)であり、心理学もその重要な領域であるが、脳科学、医学、行動科学等、様々な領域と手を携えないと解決することは難しい。教育、医療はもとより、福祉、司法、産業臨床等、幅広い実践研究の中でたどりつくものであると思う。

 加えて、心理系大卒の知識・理論だけではなく、より高度な臨床実践の中で習得されるものであると考える。プライバシー保持のため、詳細は控えるが、心理系の大学・大学院を含む相談室でのカウンセリング心理臨床経験の中で抱いた率直な感想である。

学生相談室で、大学生の心の成長を支えたカウンセラー経験者として、広く諸科学と連携すべきであり、心理師国家資格の受験資格は、心理系大卒に限定するべきではないというのが率直な見解である。何故なら、心理学だけでは、人間の心は、救えなかったことに加え関与しながらの観察に基づく、臨床心理実践が積み重ねられたからこそ、解決が促進されたケースも数多くあるからである。

昨日届いた(財)資格認定協会からの便りを拝見しながら、改めて思った。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0