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構造化面接と非構造化面接をつなぐ道 [心理]

 最近、時間限定のカウンセリングでも、ナラティブアプローチを取り入れた面接を心がけている。
 目や顔の表情、身体姿勢などの非言語的メッセージも重要であり、現に語られた『言説』に限るナラティブセラピーとは厳密には異なるが、結局は、クライエントの利益になれば良いと理解している。
 クライエントの語りに重きを置く意味は、病態が重いクライエントばかりでなく、健常者の方においても、言語化された言説(語り)を中心に、寄り添っていくと、クライエントの生活や生育暦の全体像がおのずから浮き上がってくる。その語りの中から、背後の気持や感情が自ずと明確化されたり、気持や感情の矛盾に気づき、自然と解決行動につながる自己決定ができるようになる場面に直面する中で、結果的に解決が促進されることが数多くあるからである。
 事柄に関する言葉だけではなく、相手の気持が現われた言葉(キーワード)を、言い換えずに声のトーンを合わせ効果的に繰り返していくと、相手は、自分のことを尊重してくれると感じ、特に支援を求めたい気持、助けて欲しい気持が強い時、気づきや自己決定に顕著な効果をもたらす。
 但し、境界例のクライエントには、一定の枠組みに構造化して介入することも必要である。特に心のエネルギーが弱っている場合には、語りを重んじたアプローチを続けながら回復をまって、枠組みを設け、クライエント自身の行動傾向や心理パターンに気づく中で、展開を変えていくことが必要である。その意味で、簡潔なものであっても、構造化のためのガイダンスが威力を増してくると思う。
 滑走路を走らずに、飛行機がいきなり空を飛ぼうとしても難しい。それと同様に、クライエントの語りを軽視し、いきなりガイダンスに重きを置いた面接に入ることは、本当の人格変容をもたらすかということが問われる。老婆心ながら、時間がくれば以前の傾向が再発することはないだろうか。
 構造化面接と非構造化面接をつなぐ道は、非言語を背景とするクライエントの『語り』ではないかと捉えるのである。 もっとも、カウンセリング研修や講義の場面など、場面を構造化させることが、必要なケースもあるが、上記の観点を踏まえ、構造化と非構造化の度合いを調節すると良いと思う。


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