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ここは今から「倫理」です [学び]

もう何十年前のことだろう。青年期に夢中になった学習科目があった。科目名は「倫理」。当時「倫理社会」と言われていた。他人のことを言える立場ではないが、もし今もこの科目について、政治の責任の中で、人として少しでも気に留めていたら、東京五輪を前にこれほど多くの問題は生じなかったのではないか。その意味で、倫理は人間社会における問題発生の未然防止の役割を果たしているともいえるかもしれない。




ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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  • 作者: 雨瀬シオリ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: Kindle版
小説 ここは今から倫理です。 (集英社文庫)

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  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/12/18
  • メディア: 文庫
現代の倫理(倫理309)山川出版社 文部科学省検定済教科書 高等学校公民科用【平成29年度版】

現代の倫理(倫理309)山川出版社 文部科学省検定済教科書 高等学校公民科用【平成29年度版】

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2021/03/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
年度末になり、貯めていた録画を紐解くと、興味があるフレーズに目がとまった。「倫理」。心理士(師)の世界に足を踏み入れた時も、法律と同様に必須の科目として修得課題に上がっていた。心理士(師)の世界では、医療におけるインフォームドコンセントのように、重要な規範法則を軸に実践すべき重要なテーマとなっているが、どこか懐かしい響きがしていた。大学受験の頃、某大手の全国模試を仲間うちで受験するために大学巡りをしていたことがあった。当時4~5人のグループの中に属し、受験学習に参加していたが、試験途中の昼食の時間や帰りの道のり等、当時のクラスメイトと会話をすることが楽しみの一つだった。もっとも自身は絶対的な得意科目がある訳ではなく、特に理数系科目や英語科目1科目で70を超える偏差値を叩き出す友人が羨ましかった。ある時、大手主催の全国模試で4番をとり名前が表記されていることを友人から示され驚いた。偏差値が80を超える値に日々の努力の成果として顕れ始めたと感じていた。とは言え一科目だけで全体の偏差値を伸びるものではない。しかしながら「倫理」の教科書だけは、折に触れ開いていて、Socrates、Plato、Aristoteles、Descartes、Kant,Hegel、Marx、Engels、Dewey等々、知らず知らずのうちに過去の先人のフレーズが頭に叩き込まれていたことを記憶している。思えば何故かあの「倫理」科目だけは、学ぶことが楽しかった。そして「人は、いかに生きるべきか」というテーマを意識しながら学習を続けていた。それから何十年経過した今、今でもあの時の学習は役にたっていると省みる反面、様々な葛藤を生み出す悩みの大元にもなっていたと思う。あの知識がなければ悩まなくても良かったと思うこともあった。しかし悩んできたからこそ人生の重要な局面で迷わず決断することができたのではないかとも思った。

 そのような思いを巡らす中、「ここは今から倫理です」という番組に目がとまった。今少しずつ録画を見返していると、青年期の自分と当時の仲間達の記憶が蘇ってくる。主人公で教師役の山田氏が自ら歩んできた人生と、先人の言葉を道しるべに、倫理科目を選択した数名の生徒と問答の中で、気づきに導く授業は、あたかも心理士(師)の仕事と相通じるものがあると感じている。倫理の教師と同様、心理士(師)の営みとして大切なことは、何が正しくて何が正しくないか(一部例外を除き)決めてかかるのでなく、気づき、また気づくように導くプロセスにあるのではないかと感じている。

 時折夢の中で過去の自分が当時の仲間とともに現れることがある。当時の自分を省みると夢中に倫理の教科書を眺めていた自分が懐かしく思えた。後輩の勧めで全集を入手する機会に恵まれたり、卒業後は、歩む道に迷う中でKantやHegelの学習会にも参加した。その延長線上で教育や生命哲学、医療の世界での生命科学を基盤とした心理学と出会ったことを省みる。

 コロナ禍の中、マスク越しで一定の距離を取り行う対話を通じて何とか乗り越えてきた。警告に従わずマスクなしで徘徊する指導者の周囲が不幸にも感染してしまったと報告されるケースも聴いている。心身の健康を保ち続けるためには、感染予防との関係でまだまだ予断は許さないが、青年期に学んだ「倫理」からスタートし、紆余曲折を通じて、心理の世界に導かれた。今の自分の境遇に導いてくれた全ての境遇に感謝できる自分でいることができれば幸いと上記の番組を振り返り感じた次第である。今後もこのような番組と出会うことができれば幸いである。


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