心理士(師)の職務が深化する要因-Coordinatorが生きているか [心理]
心理士(師)の職務が深化する要因は心理師側の要因もあるが、専ら心理師の力を発揮させようとする訪問先の事情にも起因する。
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心理士(師)として訪問先に訪問することが決定されたからには、当該組織の目的のもと、クライエントの心理支援のために力を発揮しようと思う。その意思が実際場面で展開する場合とそうではない場面がある。しかし役に当該訪問先のクライエントの心理支援のためできる対応をしたいと思う気持ちが訪問先の要請と合致する時、心理師が契約した時間の中で注意力を発揮し成果を上げることができたという感覚=自己効力感を以て自分自身の働きを受け入れることができる。その時には、組織の目的が明確でありその中で、要支援クライエントの全体の状況を把握するための主要な会議に参加する時間があり、また定刻でクライエントの本人、保護者の面談(電話面談を含)を毎週のように受ける枠組みができている場合には、訪問した心理師がどのような業務をするのか組織の中で一定明確になっているためテンポよく支援活動が進む印象がある。そのような感覚が得られた時には、心理師も一層遣り甲斐を感じより一歩も二歩も技能を発揮するための研究活動も平素より活発になるように思える。
上記のような状況に至るには、①組織との信頼関係 ②組織の長、副長との信頼関係 ③組織構成員の心理師業務への理解と配慮 ④心理師の活動を把握して必要時時間の構造化を行う担当者の力 ⑤クライエントの現状を的確に把握して心理師のアセスメントの下で医療や外部の相談機関につなぐか、心理師の支援を受けるかなど迅速にリファーのタイミングを計る姿勢があること。⑥組織に関連するクライエントのために心理面接の構造化や行動観察時の配慮、クライエントを取り巻く正確な情報提供への協力など様々な要素が心理士(師)の活動を促進させる要因となる。特に心理師と組織との間をつなぐ橋渡し役(coordinator)の方が常に心理師に心を向け、リファーのタイミングを図る等、機能しているかどうかに関係していると振り返る。
どの組織においても心理士(師)のコーディネーターが機能している所とそうではない所で心理士(師)の活動が全く異なってくる。coordinatorが機能している所では、心理士(師)の訪問日には、必ずcoordinatorの部屋に訪問し組織長の話を一言聴けば、今日すべきことが浮かび上がってくる。他方で、coordinatorとは名ばかりで全く機能していない組織においては、一から心理士(師)が直近情報を把握するための時間を必要とするため、展開が遅れてしまうのである。coordinatorの有難さを痛感するとともに全く機能していない組織においてのcoordinatorの働きを省みるとクライエントの迅速な心理サポートが難しくなるとともに、本当に何のために訪問したのか名ばかりのcoordinatorには存在自体を疑問に思ってしまう。いっそのこと潔くしっかり機能する意思のある方に交替した方が潔く訪問日の要支援クライエントに一刻も速く、効率よく心理支援をおこない結果も導き出すことができる。人を生かす知恵を持った組織か否かで大きな違いが出てくることを省みる必要がある。
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