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児童生徒の行動に映し出される家族病理と支援者の介入の質について [心理]

身体表現性症状やリストカットを始めとする行動症状が教室やスクールの相談室で日々顕れる背景には、児童生徒の生育歴と家族背景、そして、支援者の介入の質、まさに質が隠れている。

身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法

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  • 作者: べッセル・ヴァン・デア・コーク
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2016/10/11
  • メディア: 単行本
家族療法テキストブック

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 金剛出版
  • 発売日: 2013/07/01
  • メディア: 単行本

 スクール訪問時、教室や相談室等、様々な場所で、要支援児童生徒の行動観察を行う時、様々な光景に遭遇することがある。特に学級の中で、発達障害の特性を有する児童が授業中、感情のコントロールができずに行動化したり、また、相談室の中で、複数の生徒が自傷行為をすることをほのめかしながら気を引く行為症状に出る光景を拝見することがある。支援者がそれを適切に対応しているケースと、身近な相談員や若年教師が子供の症状に巻き込まれてしまうケースがみられる。適切に対応するためには、行動症状に映し出されている生育歴と家族背景を念頭に置きながら、児童生徒の情動に巻き込まれないことである。

  巻き込まれてしまう典型例は、児童の行動を制御するために、トイレや怪我の治療で保健室に行こうとする児童に担任が許可を与えず、他の児童の前で怒鳴る行為がある。声のトーンの強さと禁止の程度、児童の欲求の切迫状況によっては、児童虐待防止法の心理的虐待に該当し公益通報される可能性がある。特に、児童が感じる痛みに切迫感を感じて、相談室のSCのもとに駆け込む形で訪れた場合、SⅭの仕事としては、痛みの訴えを傾聴し、痛みの部位を特定し、骨に異常がないか問う中で、薬の塗布も含めた必要性を感じる痛みであるならば、担任に声をかけて保健室に導くことが必要になる。それが身体表現性の痛みであっても、家族に訴えることができない状況の中で、代わりに訴えを聴いた者が痛みへの共感をすることが重要である。しかしながら、その痛みが繰り返されるケースでは、特に若年教師の中には、帰りの会が終了した後でも、保健室に治療に行くことを制限する方も稀におられる。特に教師が他の児童の対応に追われている時、自分のテリトリーにおいておきたい心理が働き、怒鳴る教師もいるが、それは、上記の心理的虐待及び、身体的虐待に該当することから、対応したSCは、速やかに児童とともに養護のもとに向かい、当該担任教諭の対応を管理職に報告する必要がある。

 相談室の中でリストカットを繰り返す生徒に対して、身近な相談員が巻き込まれるケースもある。巻き込まれてしまうのはまさに他原稿で述べた逆転移であり、心理臨床の基本知識がない場合と、臨床心理トレーニングを受けた経験がない場合に生じるケースがある。リストカットは、自傷型気を引くパターンの典型であるが、臨床経験の浅い相談員の中には、傷をみることで自分が責任に問われてしまう怖さ等の感情から、相談室の他の生徒への配慮を脇に置きながら、当該生徒にばかり視線を送る傾向がある。加えて、規範を逸脱する他の行動についてただ傾聴するだけで、叱るどころか、注意を喚起することすらできない。それゆえ、益々、当該生徒の要求水準が高まり、自己の気を引く行為に相談員が迎合している感触を無意識に確認することを行うことになる。その状況をSCが観察した時、速やかに当該生徒と距離化する必要がある。特に、面接依頼された時には、医療機関の担当医師から個別の面接許可が出ているか問い、不明確な回答が返ってきたら対応を他生徒と同じ程度に話を聞く程度に留めるなど対応を工夫する必要がある。ここで、注意すべきことは、当該相談員が逆転移をして巻き込まれていることに気づかない方に対して、Counselor団体、時に学会関係者が民間資格を出してしまっていることである。加えて、心理臨床経験歴を聞くと、相談員の経験は、複数年あるが、前の職場では、ほとんどCounselingらしいことを一切させてもらえなかったと繰り返していたと記憶するが、配置転換となり、いつの間にか、SCの話を聞いているうちに、自分もできるような気がして、誇大自己が躍動し、共感まがいの傾聴と転移感情の解釈と対応を誤り、ご自分の逆転移感情にも気づかず、目の前のクライエントに巻き込まれて介入を繰り返した結果、入院させることとなってしまった経緯がある。心理臨床訓練の実態がない中で突然、つぎはぎだらけの理論を駆使して、何とか、目の前の生徒に対応してみたが、一見、つなぎとめることができても、一向にパーソナリティチェンジが生起しない。SCの初回面接で登校を回復したものの不在時、身近な相談員が上記の状態で、左脳優位の介入を繰り返した結果、気づきと自己決定によるパーソナリティチェンジが生起せず、また一人、また一人、その場を離れてしまう。このような危険な状況に際し、助言をくれないから駄目だと責任者に進言してくる方もおられる。そもそも出身大学に立派なスーパーバイザーがおられるのに、その方に連絡してみてくださいと当初より助言しているのに、それを実践せず、民間資格付与とともに研修も受けなくなってしまった。周囲への要求水準が上昇し、ご自分の求める要素が強くなるため、時に勤務日ではない日に多忙な中、携帯に予約報告の着信を戴いても、実際に予約の時刻にはクライエントは訪れなかったり、講師の依頼をする旨伝え聞き、準備していたものの、当日になりキャンセルをするケースも聞いた。この中で共通していることは、クライエントの隠れたニードを読み切れず、効果的な介入が難しいため、当初は、善意で関わってくるが、結果的に人を巻き込む形で関わり、迷惑をかける結果となってしまっているのである。ひとえに、心理臨床訓練が過去の経験の中で内実を伴う形で積み重ねられられず、空洞であったがために、突然、数か月前に、Counselingらしき行為ができる場を得たとしても、それは、医療機関で薬の手配をしていたり、受付で、連絡調整をしていたりされていた経験の反復であって、クライエントのパーソナリティチェンジに導く心理介入ではないご自分自身の現実を直視すべきではないかと率直に思うのである。

http://satheal.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20-1

 ところで、児童生徒の不適応状態の背景には、先ず、発達障害の症状を放置していることがある。学校で授業を受けずに離席を繰返し、他児童と衝突を繰り返し、集団授業に多大なる影響を与えていること、率直に授業を妨害していることを保護者が認識していない方がおられる。そのような状況を伝え、特別な支援の機会を与えても、その実情を汲み取ろうとせず、むしろ抵抗するケースがある。この抵抗は、心理的防衛として自然であるが、他方で、ご自分の御子息が授業妨害をしている現実を受け止めて戴く必要もある。この授業妨害は、14歳を超えれば、威力業務妨害の構成要件に該当する行為となる。14歳未満の児童生徒であっても、仮に6歳の児童であっても、刑法の構成要件に該当し、明らかに故意がある違法行為であれば、保護者様がその責任を代わって代償して戴くことが適切であると解されるケースもある。

  顕著な事例では、過去、保護者が授業を見守るよう示唆した所、毎日授業に参加下さり、集団授業の機会を支えて下さった。同時に医療対応も並行した結果、特有の症状が鎮静化し成長を遂げたケースがあった。

   教師の体罰を心配している保護者がおられるならば、ご自分の大切なご子息が集団授業を繰り返し妨げ、他の児童や保護者に迷惑をかけていないか、先ず、授業を見守りに来られることをお勧めしたい。


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