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成年後見制度の問題点 【追記】 [学び]

NHKあさイチで放送された成年後見トラブルは、衝撃の内容だった。

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2016/02/24/01.html

こころの臨床a・la・carte (第19巻第4号)〈特集〉司法精神鑑定の実務

こころの臨床a・la・carte (第19巻第4号)〈特集〉司法精神鑑定の実務

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 星和書店
  • 発売日: 2000/12/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

家庭裁判所から成年後見に選任された弁護士が被後見人の全財産4200万円を着服(業務上横領)したケースは、氷山の一角かもしれない。報道では、2014年判明している額だけで56億円の被害額があるとされている。判断力が低下した要支援者は、財産に関する事務を委ねざるを得ない実情から事務を任せざるを得ない弱い立場にある。しかしながら、被後見人の財産管理に関し(諸外国の制度と異なり)無期限で全てを任せる構造になっていることが一番の問題である。それに加え、家庭裁判所が選任した者が特に弁護士等国家資格者を選任した時、明らかに職務の不履行がない限り、単に懈怠では、介入が難しく、仮に全く働かなくともやめさせることはできないとも番組では説明されていた。

 しかしながら弁護士有資格者等であるからとはいえ、人間である。勿論真面目な方がほとんどなのだろうが、絶対にということは言い切れないことは、事件件数に示された数値が物語っている。

 自身も、家庭裁判所の裁判官と成年後見に選任された弁護士の対応をした経験があるが、①先ず第一に、多額の債務者である親族が自分達の債務を免れるため、成年後見人の選任を申し立てた背景を裁判官と弁護士は知らなかった。

http://ja.whotwi.com/flash_link

 それに加え、②選任された弁護人が正式に選任されたわけではないのに自分は成年後見に選任されたと説明してきた経緯があった。裁判所に問い合わせると正式に選任された段階ではない時点で電話をかけてきたことが判明した。連休を控えていたため、ご本人の健康を案じ、権利を保全するため、速やかにご本人確認をするため、訪問するように求めたが、女性であることを理由に訪問することはなかった。生命、身体の安全を図る必要がある緊急時の場合にも、要支援者本人を案じて駆けつけて下さる方ではなかったことが明らかになり、当該要支援者ご自身の中で成年後見人を名乗る女性が疑わしい存在である旨の心証が形成されてしまった。

③さらに成年後見人は、財産を管理をするが、介護には一切参加しないという説明がH裁判官からあり、入院等した際には、医療保護入院の保護者としての役割も有しない事例も多いことが裁判官及び、自称成年後見人を名乗る女性弁護士の態度から判明した。仮に、被後見人が寿命を迎えれば、その時点で、財産関係の整理はするが葬儀等の手続きは一切関わらないということも判明した。

⑤さらに驚いたことは、当時家裁の担当H裁判官(男性)は、審尋の根拠法、根拠条文を知らなかった。他勤務で多忙を極めた状況であるにも関わらず、後見センターと称する場所を通じて幾度となく着信があり、半ば一方的に日時を決められたことから、根拠条文を明示するように求めたが、民事事件手続法という当時成立した法律に関する説明はなく、非訟事件手続法という古い法律名を説明し、間違いに気付いた当時担当事務官が、翌日、自身の留守電に訂正の声が入っていた録音が今だに残されている。即ち、成年後見制度を運用する裁判所が選任した男性裁判官自体が、手続きの根拠条文を熟読せず十分に理解しないまま、要支援高齢者との利害関係者である多額の債務者である親族の申し立てに基づいて、単に残された高齢者の通帳の残高を目当てに、財産を保全することを目的として、関わってきたと解された。それは、その高齢者の財産の中から弁護士に支払われる報酬を念頭に置いて関わられてきたと思われた。しかしながら、要支援高齢者のニーズは、病院で医師の治療をすることであり、必要な介護を受けることであった。そのためにも今だ返済されない親族の高齢者に対する債務を保全することが第一であり、そのことを情報提供し、速やかな対応を求めても、全くそれに対しては、当該弁護士はもとより、H裁判官もまた耳も貸さない状況だった。入退院を繰り返す中で、健康状態を保持しなければならない当該高齢者の健康を守るという視点は半ば二の次であり、ただ、財産目録を提出することも求められていた姿勢にそもそも何を守ろうとしているのだろうという違和感を感じていた。率直なことを申し上げると、あたかも要支援高齢者の財産を守ることを建前としながら、成年後見という身分を弁護士になりたての若年者に与え、生計を立てる支援をするという意味あいでしか捉えられなかった。

 そのような経緯があったことから、豊富な経験がある精神科医の受診をし、十分な意思能力も認定される中で治療を継続し生命の安全が保たれた経緯があった。そのご本人が利害関係のある債務者(親族)が成年後見を申し立てたことに対して異議を申し立てたが、一切その主張を受け入れなかったことを記憶している。

http://satheal.blog.so-net.ne.jp/2014-08-04

 あさイチの報道では、成年後見に選任された弁護士が、被後見人の財産を2年間で使い尽くして、既に高齢者施設への入金も滞る中、高齢者施設を出なければならないほど追い込まれたという。幸い、新たな弁護人が選任され800万円が返還されたが、その他の返済されていない金銭の一部は、夜の女性が集う酒席で、シャンペンタワーにも費消されたという。成年後見人である弁護士を信じた御本人はもとより、御親族の方の信頼を裏切り、法制度の信頼を根底から揺るがす行為だったことは明白である。

 ここで、成年後見制度を見直す必要がある時期に来ているのではないかと思う。

①成年後見の申し立て人は、被後見人との間に多額の債務を負担するなど、利害関係を有しないことが必要である。既に幾度となく、返済を請求しているにも関わらず、自己の多額の債務を免れるために、自分が選任した弁護士を通じて、債務の履行を免れる方向に導きやすい弁護人を成年後見人として指名することが可能だからである。

②成年後見人は、選任後、常に職務の状況を通常の原本提示など、根拠がある財産目録の開示請求に応じること。開示請求に応じなければ、即解任することができるようにすること。あさイチで放送されたように、何度連絡しても返答しなかったり、返答した6か月後には、通帳の複写も添付しない虚偽の財産目録を提示したりしていたが、虚偽の状態を作出していることに他ならない。即解任することができなければ、財産状態が悪化してからでは遅いからである。さらに、多額の債務者が親族にいる場合、その債務の履行を速やかに行うこと。特に債務者が、同じであるはずの文書の一通を偽造し、何度原本開示を請求しても応じないケースがあるが、速やかに調査を行い、債権の保全を図ることを優先することが必要である。選任された弁護人が債権の保全をすることなく、ご本人の財産をあてにしている場合、先ず、本人のために成年後見の事務を行っているとは疑わしいと解さざるを得ない。

http://satheal.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22

③成年後見人に選任された者と、被後見人及び、その親族は、仮に後見人が被後見人に損害をもたらした場合、損害を賠償するという意思を書面にし、署名戴いたうえで、事務を進行させることが必要である。家庭裁判所の求めに応じて、弁護士を推薦した弁護士及び弁護士会は、推薦した弁護士及びその他、成年後見人が被後見人に対してもたらした損害に対して、連帯責任を負うこと。

④家裁の裁判官が成年後見人を選任する際には、弁護士をはじめ、本人の成年後見人として選任されることが適格か否かという調査を行うこと。調査が不十分にも関わらず、選任された後見人に不祥事が生じた際には、裁判官及び、裁判所が自ら責任を負担すること。裁判官の独立という問題と抵触するが、自身が体験したように審尋のための根拠法と根拠条文すら知らず、呼び出しをかける任務懈怠の先に述べた裁判官と称する方には、自らの判断により被後見人に損害をもたらした場合には、自ら判断の責任を負うという覚悟が必要であると思う。

⑤成年後見人は、財産の管理のみならず、看護、及び、介護の責任を負うこと。被後見人の生命、身体の安全に危機が生じた時は、常に緊急支援の責務を負うこと。その任務を懈怠した際には、被後見人及び親族に対して損害賠償責任を負うこと。その旨、予め署名した者だけに成年後見人とすることができることとすること。

⑥成年後見人の専門資格制度を国は作ること。医療の世界では、認定医や専門医という医師の中での専門資格があり、研修を積み重ねておられる証明をクリニックに掲げているのが通常である。それに対して、弁護士は、法科大学院等修了して試験を受け合格すれば、国家資格を取得する。人生経験や職場経験が浅い方も学力次第で、成年後見人という重責を担うお立場にある。しかしながら、先の56億円という被害報道からしても、まずその重責を担いきることが困難であることが示唆されている。それに加え、裁判官の中でも上記の家庭裁判所に所属する林裁判官のように審尋の際に要保護高齢者と重大な利害関係がある問題に関してさえも、傾聴姿勢がない方がおられることを踏まえると、成年後見人となることができる専門資格制度を新たに創設することが必要である。2年間の司法修習では、人格の陶冶まで至りにくいということは通常予測されることである。それに加え弁護士や裁判官が自ら、被後見人の生命、健康、財産、親族の権利について、自ら担保を供する制度にしていかないと、上記のような被害は抑止できない。

 最後に、上記の弁護士や裁判官の対応を踏まえると、司法修習、卒後研修の中で、傾聴コミュニケーションのカウンセリング臨床研修を受けることが必要であると解されるのである。

【追記】高齢者施設入所のケースでは、高齢者施設の対応にも監視が必要である。要支援高齢者の介護職、看護職の見守りが手薄になることで、緊急入院にまで追い込まれるケースがあった。背景には、加齢による変化に関する対応と時機に応じたアセスメントがされていないこと、食事内容と介助を含め、対応が適切でなかったことが推察される。

 入院直後、医療機関との連携を十分にとっていないケースもある。医療機関ではプライバシー保護が重視される。それを理由に施設では問い合わせない事例もある。退院後も医療機関の主治医からの手紙数枚でやり取りするが、その文書だけでは伝わりにくい事例もある。その伝わりにくい内容を埋めるためには、口頭での問い合わせ等、時機に応じた直接のコミュニケーションが必要であるが、明らかにそれが不十分な場合もある。連携をしていますかと問い、当然ですといったニュアンスの回答が返ってくるが、退院後、食事の内容や見守りの程度等、医療機関からの手紙を読み、指示を出していないケースがみられた。例えば、ベッドから転倒が予想される、当面全介助が必要と指示されているのに、要支援者から目を離してしまい転倒している場面が発見されるケースもある。

 親族が退院に付き添った直後、対応するスタッフの目が行き届かない体制の中、転倒に気付き、謝罪の連絡を受けることもある。高齢者施設での見守りに明白な瑕疵があるのに、電話一本、謝罪の一言で、親族に責任を転嫁する姿勢は、如何かと率直に思うが、振り返って考えると、転倒予防の組織的な対処がされていたか、そして、下肢のリハビリ対応を行っていたか等、考察する必要がある。

 他のケースでは、高齢者施設に入居後1か月で高齢者が身体部位に激痛が走ると訴えるようになった。そこで親族が施設に問い合わせると、高齢者施設の主任看護師が、認知症の症状ですという回答を繰り返した。それに疑問を感じて、信頼ある病院に受診させると、骨折が判明した。そして入居後、即入院となった。この話を関係者から聴いた時は率直に驚いた。

 当初、高齢者が発熱し、経過観察の報告をするが、その後連絡なく、突然深夜になり、救急搬送する旨の連絡を受けたこともあった。休み明け、通常は、勤務が入っているが緊急に休まざるを得ない時もあった。振り返ると、施設のケアマネージャーが中心となり、要支援高齢者の部屋に赴き、きめ細かに経過観察して、医療機関に搬送する対応を速やかに連絡する必要がある。夜間の緊急入院の連絡、入院中の医療連携、退院後の見守り等の対応が希薄で、後手後手に回っているケースをみると、事業所には入居者の支払に加え、国から十分な介護報酬が与えられているはずであるのに対応が十分ではないという疑問が残る。介護報酬の単価の切り下げが問題となっているが、その財源の多くは、介護保険料に加え、介護支援金によって成り立っている。特に、介護支援金は、今だ介護を受ける世代ではない若年層の国保税に付帯して請求される税金である。

介護を受ける必要のない世代が世代間扶養を建前として、理由なく高額な負担を強いられている税金を、介護報酬として高齢者施設等は受け取っているのである。そもそも、高齢者施設において報酬に相応しい対応が行われているかを疑問視する見方もある。社会福祉法人は、営利社団法人ではないことは明白である。

 成年後見人が機能していれば、ある日突然、債務不履行を理由として高齢者施設に訴状が届く場合もあるだろう。報酬を戴いている以上、きめ細やかな対応と、誠実な対応を怠ってはならない。ここでも、成年後見の問題同様、信用と用心が必要である。

 尚、きめ細かな対応とは、知識に基づき、関係スタッフとの連携を通じて、判断が困難な時、医師に問い合わせをする姿勢が必要である。栄養管理と体重などの調整が困難な時は、管理栄養士が施設の管理医に問い合わせれば済むことであろう。既往症を省みず、過去、施設の不注意で入院騒ぎを起こした経緯もある背景の中で、BⅯI等標準体重の基礎知識を知らずに契約者に他の栄養補助食品を進める問い合わせをしてくるケースや、口腔ケアの視点を怠る中、いきなり抜歯が必要と連絡してくるケースもあり、論外である。基礎知識が不足されているスタッフは、契約者ではなく、専門スタッフの助言を受ければ済むことである。

 それに加え、スタッフは患者の空腹感を満たすことを専ら考えるよりも、自らの共感的なコミュニケーション技術を修得することが必要である。何故なら、患者を怒らせるトラブルを起こすスタッフは、特定の者に限られている。それは声かけの仕方が患者を怒らせる声かけになっているからである。前担当者が特に問題が起きていないにも関わらず現担当者がトラブルを生起するならば、現担当者のコミュニケーション技術に問題があると言わざるを得ない。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160226-00000080-nnn-soci

http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sougoushien/dl/sougoushien-02.pdf


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