SSブログ

カウンセリング技法とエゴグラムの変化 [心理]

 心理アセスメントの方法としていかなる方法を用いるか。アセスメントには、面接をはじめとして、質問紙法、投映法、作業検査法などが知られているが、クライエントの自我状態を捉える質問紙としてエゴグラムを用いるケースがある。エゴグラムは、学生相談や医療現場でも一般的に用いられており、個人的には、STAI(状態・特性不安尺度)やSDS[抑うつ尺度]等とともに活用する機会が多く、小児を対象とする小児用エゴグラムも用いる機会もある。エゴグラムは、当初、デュセイ博士の直観像によって生み出されたことがその著作に記されている。

カウンセリング医療と健康―ヘルスカウンセリングへの招待

カウンセリング医療と健康―ヘルスカウンセリングへの招待

  • 出版社/メーカー: 金子書房
  • 発売日: 2004/07/01
  • メディア: 単行本
公認心理師ベーシック講座 健康・医療心理学 (KS心理学専門書)

公認心理師ベーシック講座 健康・医療心理学 (KS心理学専門書)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/03/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 


 デュセイ博士のエゴグラム(創元社刊)によると、エゴグラムの形には、様々なパターンがあることが記されているが、これまで自身が向き合ったクライエントの記録を省みると、健常人はもとより、うつ(気分障害)や心身症、境界例、パニック障害、強迫性障害、心因反応等と診断され、身体症状や精神症状を伴うCLは、症状の寛解に至るまで、エゴグラムの形の変化が生じる傾向があり、中には、一定の法則性を有する傾向があると思われる。
 例えば、平素言いたいことを抑圧して、ストレスを溜め込み、抑うつ傾向があるCLは、①FC(自由な子供)の値に比べAC(従順な子=イイコ)が高く、②NP(養育的な親)に比べてCP(批判的な親)の値が高く、③エゴグラムの型では、W型またはN型が多く占めている。ACの高さは、宗像博士の自己抑制型行動特性尺度との間に相関がみられると解され、20点満点に近い得点を示すCLも多くおられるが稀にそうでないCLもいる。そして、トラウマがらみの事例では、④カウンセリング面接で、空椅子や胎生期の癒しをはじめとした癒し技法を行い、症状が改善した後は、⑤ACに比べ、FCが優位となり、またCPに比べNPが優位となる傾向が見られた。他方、⑥症状が慢性化して、あきらめや、心のエネルギー低下傾向にあるCLは、CPが低い例もあり、また、⑦NPが20点満点に近く高い値を占めるケースもあり、慈愛欲求が傷ついた結果、NPの値が高くなると解される事例もあった。なお、⑧エゴグラムの形が変わりにくい形をもつCLもおられたが、それは遺伝子レベルで親や祖父母から継承した気質との関係で理解されるのでは・・・と現時点では捉えている。
 新里里春氏(琉球大)の著書「交流分析療法」によると、上記デュセイの文献同様、本当に多様な形があると理解される。上記は、一例ではあるが、他方で一定の法則性もあると感じている。

 

交流分析とエゴグラム

交流分析とエゴグラム

  • 作者: 新里 里春
  • 出版社/メーカー: チーム医療
  • 発売日: 2000
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0