構造化されたイメージ療法の変容原理 [心理]
構造化されたイメージ療法に集中的に触れるうちに認知の根幹を形どるイメージ変容の原理に気づいた。心理学的には「汎化」の原理である。
サイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法(DO BOOKS)
- 作者: 川畑 伸子
- 出版社/メーカー: 同文舘出版
- 発売日: 2009/08/06
- メディア: 単行本
イメージの治癒力をめぐって (箱庭療法学モノグラフ 第6巻)
- 作者: 友久茂子
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2017/10/13
- メディア: 単行本
睡眠覚醒リズムを保ちながら映像を流す試みで早朝起床時の爽やかな覚醒に導く営みを続けていると、もう20年以上も前に研修に参加した時にあまり意識していなかった一つの事実に気づいた。それは構造化されたイメージ療法のうち特に進化遡及を行うメソッドは、認知を構成する根幹的なimageが変容する過程は、その時、クライエントの直感で捉えた背景イメージが例えば、いくつかの時代が想起されることがあるが、その時想起されたイメージは、偶然であるにすぎず、その直感を媒介として認知の根幹を彩るイメージにアクセスしていくということに気づいた。従って直感でアクセスした今この瞬間のイメージが改善すると、他の連関するイメージも良好に改善していくのであり、一つ一つのイメージが密接に関連していくことに気づくと、自己イメージを背景とするイメージが安定的なimageとなりイメージ療法を施行する前には、不安になりやすい特性を導くnegativeなimageが改善され、良好なimageに変容していく。イメージを構成する感覚、感情情報、色や形、温度、音声などの様々な要素がクライエントにとって快感情をもたらす良好な感覚に安定的に変容していくことに気づく瞬間が来るのである。
そのプロセスを構造化していくと、最初は、限られた時代や場面に関するimageが断片的に想起されるけれどもそれぞれの断片的imageがつながりあって、一つの大きな映像が形成されることになる。結果、不安から常に安心感をもたらすimageが形成されてちょっとやそっとでは揺れ動くことのない安定的な自己イメージが形成されてくるのである。その時点で、構造化されたテストバッテリーに基づくチェックリストを行うと、例えば自己肯定感を示す自己価値感の得点が飛躍的に上昇したり、周囲の評価が気になるために自分を抑圧していた自己抑制が解き放たれていく。自らの気持ちを自信をもって周囲に伝える自己表現スキルを獲得すると、相手に伝わったという自己効力感が高まるために更なる自信感を携えた自己イメージに変容する。結果、現実を直視して自らの問題を解決する問題解決力が向上し、その法則性を体感すると、不安傾向が改善され、現実の抑うつ度も低減していく。かつてスーパービジョンの過程で例外的にCounselingを受ける体験を繰り返したが、そのプロセスを何年も繰り返すことによって、安定した自己イメージに変容していくことを振り返る時がくる。
このプロセスをさらに振り返るとその時々で弛緩集中状態に導く中で、その時々、瞬間に想起された映像が安定的な映像に変容するように「汎化」されていることに気づくのである。それは、かつて構造化されたイメージ療法に関心を持ち始めた際、主宰に質問した「原風景を癒す」ための変容原理と符合するものであり25年以上の時を超えて人間の自己変容の原理を改めて実感しながら日々のセルフス―パビジョンを体験する幸福を感じている。精神科診療所や大学の相談室、そしてスクールの現場で向き合った重症のクライエントがもはや世代間伝達した自分の特性に基づく固定化された自分を変えることができないという訴えを前に取り組んできたが、適切な環境調整を行うとともに方法さえ誤らなければ、良好な自己イメージの変容に導くことができるはずである。
しかしながら環境調整を妨げる数々の要素を一つ一つ取り除いていく必要がある。それが一番の良好な自己変容を妨げる要因であることを改めて省みる今日この頃である。
さ
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