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SNS交流での投稿者の人権と管理者の見識、品位を保たせる配慮について顧みる [学び]

令和元年の5月を経て、夏以降からSNSサービスに関する苦情が後を断たない。中でも大切な観点は、基本的人権の観点に基づく、管理者の品位と判断の公平性である。


SNSカウンセリング・ハンドブック

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SNSカウンセリング入門: LINEによるいじめ・自殺予防相談の実際

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チャイルドラインで学んだ 子どもの気持ちを聴くスキル

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スタートアップ民法・民法総則 (伊藤真試験対策講座 1)

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先端刑法 総論 ―現代刑法の理論と実務 (法セミLAW CLASSシリーズ)

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井上円了 「哲学する心」の軌跡とこれから

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井上円了: その哲学・思想

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迷信と宗教

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1)FacebookやInstagram、LINE、Twitterなどに代表されるSNSサービス。音声を伴った言語的交流を介さなくとも、対話が可能になっているものがある。現実に音声が伴わないと言葉を通じて音声を聴覚でとらえ、言葉の意味を振り返り、相手の方に対して適切な判断が下されているか振り返る機会ができるが、音声や映像が伴わない文字媒体だけであると、イメージが難しいため、時に管理者も関係者の権利侵害につながる不適切な判断が下されていることに気づかずに持続しているケースが数多くある。特に心理学理論や心理交流の名目で、臨床心理士や公認心理師の公的、国家資格を持たない単に大学で数時間心理学を学んだことを建前としてFacebookグループの管理者となり、心の支援を行うグループ、医師の指示に基づき治療が進められている患者に対して無資格の心理学を一部齧った者が断片的な知識を用いて、法的、倫理的配慮に関する訓練をしないまま、管理者として取り仕切り、瞬く間に1000人の利用者を集める中で、公然と法律に違反する行為を繰り返していたケースについて、公益通報がされた事例を本稿でも相談者の同意のもと紹介したことがあった。


2)次なる問題は、Facebookの管理者が実質的に投稿者の内容を掌握し、気に入らない内容は削除要求をしたり、それに従わない場合には、アカウントをblockしてアクセスできない状態にしたり、数多くの投稿内容を無断で削除したりするケースである。それに加え、アクセスできない状態にしたまま、管理者の思うままに既存に投稿され、投稿者が制御できない状態での記事を管理者が事実上活用しているケースなど様々である。

 確かにFacebookグループには公開グループと非公開グループがあり、非公開グループで少人数のもの等、目的が限定されている場合には、制限をかけられても致し方ない場合もあるかもしれない。しかしながら公開グループの中で数百人から1千人以上を構成するmemberの集団となる中で、確かに様々な投稿への規制がされる必要性が考えられる。しかし、基本的に公序良俗に反する内容や法律に反する表現等でない場合、しかも内容的にFacebookの目的に添った投稿がなされていたにも関わらず、管理人の一時の感情で当該投稿が突然削除されたり、事前校閲の上遅れて投稿を許したり、コメント欄への対応を嫌う投稿者に対して、その意思に反してコメント欄を開くように求めたり、それを理由あって拒否したり放置した投稿者のアカウントを一方的に削除するといったケースが増えてきたと聴いている。


3)当初自身も相談者からの相談を受けるにあたって、そもそもFacebookのグループは、私的なグループであり、それは私的自治の原則に基づき運営されるものであると解していた。しかしグループの構成員が数百人、千人と増えてくるとそうもいかなくなる。明らかにおかしいと感じる管理人の対応には、多かれ少なかれ日本国憲法の人権規定に抵触していることに気づくことが多い。確かに憲法は、国家と国民の間を規制する法であるが、それは民法90条や709条という一般条項を通じて私人間にも効力があることは、既に自明の理となっている。ゆえに、権利侵害が明らかな判断や対応があるとすれば、管理人と言えど、民法上の損害賠償責任を負うことに加え、例えば管理人の意向に添う内容にしなければ、「当該グループを出ていけば良い」とか「投稿を削除する」とか、「アカウントを削除(除名)する」といった表現で伝えられたり、伝えられなくとも意に添わないため、一方的にアカウントを削除する手続を断行し、既に投稿した内容に対して、投稿者がアクセスできない状態にした場合、そして一方的に文書を削除した場合、投稿者の自由な意思決定を拘束し管理者の意のままにするという行為であり、脅迫罪、強要罪(刑法223条)、加えて投稿者が作成した文書に対してアクセスできなくしたり、投稿者の文書を削除した場合には、私文書毀棄(刑法258条、259条)等、刑法上の犯罪構成要件に該当し違法性阻却事由がなく、刑事責任年齢に達すれば、犯罪が成立するケースがあることは明白である。


4)そして何よりも、投稿者の投稿後、内容を管理者が精査して投稿の可否を認めるとすると、これは、日本国憲法に規定する表現の自由の重大な侵害であり、21条に規定する検閲の禁止に真っ向から抵触する行為である。憲法の人権規定は、当然私人間にも効力が生じるわけであるから、そのような違法な行為を続けている管理者は、ある日突然、裁判所から通知が到着することを覚悟している必要がある。またさらに上記の事情で刑事告発や刑事告訴を受けたりすることも当然覚悟しておく必要がある。


5)上記のように法治国家であるはずの我が国がSNSサービスに侵され、放置国家となっている現状があるように思う。自身もこの春からSNSサービスを活用させて戴く中で便利な反面、先の様な様々な権利侵害の訴えを伝え聴くようになった。勿論日々のCounselingや心理相談においてもSNSトラブルに関するテーマが後を断たないように感じている。大切なことは、私的自治の原則に任せておくだけではなく、自分が関係する可能性がある領域については、上記の日本国憲法が規定する基本的人権の観点、そして民事、刑事の観点から違法な判断を続けている管理者を洗い出して、心理教育を通じて、違法な行為であることに気づかせることであると感じている。そしてそれが難しい場合には、原則的な法的手続に移行するように弁護士や警察の力をお借りして、正義の手続に移行するということになる。それは、現実の生活においてストーカー対策でも実践してきたことである。仮に有名大学の名義を借用し、スポーツの世界である特定の組織を応援する趣旨である場合には、当チームに火の粉が飛び火する可能性が出てくる。そして、その結果について、当該責任者及び周囲の方は、一切責任を取ることができない。そのような横暴を止めない管理者に対しては、傷ついたクライエントの心と人権を守ることに徹することが法と倫理を守ることにつながる。


当該ブログの読者の方は、延べ70万人を超えたことは、過日報告させていただいた。SNSサービスに匹敵する告知力を有し、様々な方面の方々に一定浸透していることを自覚する今日この頃である。

 

憲法 第七版

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憲法判例のコンテクスト (法セミLAW CLASSシリーズ)

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